非常事態に何をすべきか

家族が久しぶりに揃ったり、初詣に行ったり楽しい正月だが、毎年、餅を詰まらせて救急車を呼ぶ人が続出するのもこの時期だ。東京消防庁の発表によれば、2013年に餅などを詰まらせて救急搬送された人は115人。2008~13年の5年間の月別救急搬送数をまとめた結果では1月が227人と突出して多く、全体(586人)の4割を占めている。同じ5年間に救急搬送された586人中41人(7%)が死亡しており、餅を詰まらせれば、楽しいはずの正月が一変して非常事態になりかねない。

家族が餅を喉に詰まらせたときにはどうしたらよいのか。まずは119番をして救急車を呼び、可能なら咳をさせてみよう。一人でいるときに喉に詰まった時にも咳をして餅を出すようにしてみるとよいだろう。

咳ができず苦しそうなときは、背部叩打(こうだ)法を試す。背部叩打法は、餅が詰まった人の胸か下あごを支えてうつむかせ、もう一方の手の付け根で左右の肩甲骨の間を強く迅速に4~5回叩く方法だ。餅を詰まらせて倒れているときには、横向きにさせ、自分の足で詰まらせた人の胸を、片手で顔を支えて左右の肩甲骨の間を叩く。詰まった餅が出るか、その人の反応がなくなるまで繰り返す。

もう一つ、ハイムリック法(腹部突き上げ法)と呼ばれる方法もある。餅を詰まらせた人を立たせるか座らせて背後から両腕を回して抱きかかえ、片手をみぞおちより下の辺りに当てて握り拳を作り、親指側を腹部に向け腹部を上の方へ素早く圧迫する方法だ。これを何回か繰り返す。背部叩打法で出なかったときにこの方法で詰まったものが出てくることもある。一人でいるときに餅が喉に詰まった時には、背中を壁に当て、自分でハイムリック法を試してみよう。ただ、乳児や妊婦の場合は、腹部を圧迫すると危険なのでこの方法は絶対にご法度だ。