2014年9月19日(金)

なぜパート・アルバイトは低賃金のままなのか

人事&給料の謎【2】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
山口 俊一 やまぐち・しゅんいち
株式会社新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長

山口 俊一人事コンサルタントとして20年超。人事コンサルティングのほか、講演、執筆活動を中心に活躍している。約400社の人事・賃金制度改革を支援してきた人事戦略研究所を立ち上げ、現在に至る。一部上場企業から中堅・中小企業に至るまで、様々な業種・業態の人事制度改革コンサルティングを手掛ける。最新著書は、『業種別人事制度(3)商社・卸売業』『業種別人事制度(6)運輸・物流業』(中央経済社) >>人事戦略研究所サイト http://jinji.jp

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新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長 山口俊一=文
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仕事に見合った適正な賃金とは

パートタイマーとは、文字通り「パートタイム=一部の時間」だけ勤務する人です。

もちろん、実際には補助的な業務や定型的な作業を担当することが多く、その意味では賃金水準が低いことに正当性はあるでしょう。

しかしながら、もし正社員や派遣社員と同じ業務に就いていたとしたらどうでしょうか。たとえば、同じ生産ラインを担当している。同じ販売の仕事をしており、権限や役割も正社員と変わらない。また、同じだけの成果や生産性を上げているとすれば、賃金に大幅な格差をつけることは、「同一労働・同一賃金」の考え方に反することになります。勤務時間が限定されるため、企業側に使い勝手が悪いということはあったとしても、2倍も3倍もの賃金格差は明らかに不自然です。

グラフを拡大
フルタイム労働者に対するパートタイマーの賃金水準

グラフは、フルタイム労働者に対するパートタイマーの賃金割合を、国際比較したものです。日本が50%強であるのに対して、同一労働・同一賃金の思想が浸透しているヨーロッパ諸国は70%~90%程度となっています。アメリカが極端に低いのは、レストランのウェイトレスやホテル従業員など、賃金以外に客からのチップ収入が加算される職種が多いためと思われます。ちなみに、これまで日本やアメリカでは、雇用形態における賃金格差を禁止するような法律が、明確に定められてきませんでした。

パート・アルバイトが、家計における主婦や学生の付加収入であった時代は、それでもよかったでしょう。しかし、主婦であっても、夫の不安定で低迷する賃金を補完する、重要な収入源となっています。また、アルバイトだけで生計を立てる若者も急増しています。

そこで、社会の要請としても、仕事に見合った適正な賃金を支払う必要性が増してきました。

ここに面白い調査結果があります。

以前、(独)労働政策研究・研修機構が発表した「正社員とパートタイマー等の均衡処遇に関する意識調査」です。この中でパート等とは、非正規社員全般を指しています。

「正社員と仕事が相当重なるパート等」がいると答えた正社員は、67.7%にも上ります。また、自分と同じような仕事をしているパート等の賃金水準を「妥当」と答えた人は50.6%ですが、35.7%の人が「低い」(非常に低い+やや低い)と回答しています。しかも、もし自分が同じ仕事を行う場合には、49.3%の人がそれ以上の賃金水準を希望するというのです。

すなわち、

・パートタイマーや契約社員の中にも、正社員と同じような仕事をしている人は少なくない
・そして、その人たちの賃金水準は低いと思う
・もし、自分が同じ仕事をするなら、それ以上の賃金が欲しい

ということになります。

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