正社員もパートは安いと思っている

また、正社員と同じ仕事をしている場合には、非正規社員に対しても「均等処遇」を行うことに対して、正社員の約8割が「賛成」(賛成+どちらかと言うと賛成)と答えています。

この調査結果を見る限り、多くの人が「同一労働・同一賃金」の考え方に賛同しているということになります。それならば、雇用形態の違いにおける賃金格差は、すぐにでも是正されるように感じるかもしれません。

ところが、そう簡単には行きません。

もしも、このアンケートで「均等処遇」に賛成した人に、もう1度次の質問を投げたとすれば、どうでしょうか。

「パートタイマーの賃金アップと引き換えに、あなたを含めた正社員の賃金水準が下がるとしても、均等処遇に賛成しますか?」

結果は明らかでしょう。

考え方には賛同するが、実際に行うのは抵抗がある。パート・アルバイトの時給水準を決めるのは、管理職を中心とした正社員。これまでの既得権を持っている側の人たちです。自分たちの身を削ってまで、正しいと思うことを進められるほど、勇気のある人は少数派でしょう。ここにも、なかなか賃金格差が是正されない理由があるのです。

しかし昨今、人手不足の著しい都心部を中心に、パート・アルバイトの時給を引き上げる動きが顕著となってきました。来年4月改正のパートタイム労働法では、有期契約であっても「職務内容や職場配置など人材活用のしくみが同一であれば、正社員と待遇などの差別的取扱いを禁止」が明記されることになりました。さらに今後、政府が検討している、所得税の配偶者控除が廃止・縮小されれば、主婦パートが年収上限を気にする必要もなくなります。

徐々にではありますが、確実にパート・アルバイトの低賃金は是正されようとしているのです。

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