求められるのは仕事へのスピード

外資への転職斡旋を行うロバート・ウォルターズ・ジャパンの中島英紀氏はこう語る。

「早期退職制度を活用した外資への転職希望者は増えていますね。日系から外資へという場合、外資系企業がまず心配するのが、スピード感についてこられるかという点。日系とは明らかに一つ一つの仕事のスピードが違うので。杓子定規ではなく、同時にさまざまな業務をこなせるマルチタスク力があるか、そして柔軟性があるかという点がポイントでしょうか」

日本企業ではわからないことがあったとき、まず自分で調べてから他人に聞くが、外資の場合はそれよりも走りながら同時に進める臨機応変さのほうが求められる。日本企業では上司に怒られそうなことでも、外資であればプロセスよりも結果重視。真面目にコツコツやっても結果が出せない人は落第で、実績を出した者だけが評価されるという実力主義の世界だ。

仕事力に加え一定以上の英語力も求められるが、職種にもより、一概にTOEIC何点以上はOK、何点以下はダメと線を引くことはできない。中国系や韓国系でも、基本的には第一に英語が優先され、そのうえでもう1カ国できればなおよいといった傾向が強いと中島氏は言う。

鈴木氏のように語学が苦手でも、新興の外資なら技術力だけでものどから手が出るほど欲しい人材だというケースも実は多い。鈴木氏いわく「本人が英語がだめだから採用されないと勝手に思い込んでいるだけ。その人にしかない技術や特性があれば積極的に採用される。その半面、退職率も高いですけど」と言う。

中島氏によると、同社で求人が最も多いのは欧米系で、躍進が著しい中国系、韓国系も募集が増えているとか。欧米系は日本に進出して数十年という企業も多くあり、カラーは千差万別だが、中国系、韓国系はまだ「現地化」が進んでいない分、お国柄からくる特徴を理解しているかどうかで、適応できるかどうかも決まってくるようだ。