2014年6月23日(月)

なぜ個人情報はすぐに漏れるのか

サイバーリテラシー・プリンシプル(2)漏れないデジタル情報はない

PRESIDENT Online スペシャル

著者
矢野 直明 やの・なおあき
サイバーリテラシー研究所代表

朝日新聞社で1988年にパソコン使いこなしガイド誌『ASAHIパソコン』、95年にインターネット情報誌『DOORS』を創刊、初代編集長をつとめる。2002年にサイバーリテラシー研究所を開設し、「サイバーリテラシー」という考えのもとに、現代IT社会における人間の生き方を模索してきた。この間、慶応義塾大学、明治大学、情報セキュリティ大学院大学、サイバー大学などで教壇に立つ。主著:『マス・メディアの時代はどのように終わるか』(洋泉社)、『インターネット術語集』(岩波新書)、『インターネット術語集II』(同)、『サイバーリテラシー概論』(知泉書館)、『総メディア社会とジャーナリズム』(同、2009年度大川出版賞受賞)、『情報文化論ノート』(同)、『IT社会事件簿』(ディスカヴァー21)。

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サイバーリテラシー研究所(代表 矢野直明)=文
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個人、企業、国家が個人情報を収集している

「漏れないデジタル情報はない」――。これは、二重の意味において妥当する。

第一は、私たちのデジタルデータが、個人によって、企業によって、国家によって収集されているということである。

個人レベルで言えば、友人に送ったメールが知らないうちに他人に転送されているという経験をした人も多いだろう。つきあっていた彼に頼まれて撮って送った自分のあられもない姿が、交際を絶ったあとで、いわば報復的にネットに上げられてしまう(リベンジポルノと呼ばれたりする)。紙の封書には一応「信書の秘密」といった考えがあり、他人の手紙の封を切って読んだり、それを差出人の許可なく他人に見せたりはしないというたしなみが、デジタルの便利さの前に雲散霧消している。

リベンジポルノについて言えば、フィルム写真でそのような写真を撮るという発想がふつうにはわかなかった。フィルムは現像に出さざるを得ず、どうしても第三者の目にふれるから、いくら好きな彼氏に頼まれても、その種の写真を撮ったり、撮らせたりするということはめったとなかったのである。

企業レベルで言えば、これは個人情報、顧客情報の収集である。グーグル、フェイスブック、アップル、アマゾンといった大手企業は、個人情報を収集するためにこそ、すぐれて魅力的なアプリケーションソフトを惜しげもなく、無料で提供している。ユーザーのメールの中身、フェイスブックで「いいね!」ボタンを押した内容、オンラインショッピングの履歴、ウエブの閲覧記録などなど、それらの情報は分析されて、車好きには最新の車、高級別荘を買いそうな顧客にはリゾートマンション、ピンク色が好きな人にはピンクの下着を、といったように、ターゲットをより絞った広告が配信される。

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