デジタル情報が生みだしサイバー戦争

ことほどさように、情報はデジタル化された途端、漏れるのを防ぐのは難しい。これは情報を収集している側にも言える。これがサイバーリテラシー・プリンシプル(2)の第二の側面である。NSAの膨大な極秘文書がNSA委託会社に働く若者によってごっそりと持ち出されたのも、それらがデジタル情報だったからである。2010年に話題になったウィキリークスによる米情報の大量暴露も同じである。22歳の米技術兵、ブラッドリー・マニングはイヤホンをつけ、レディー・ガガの曲を口ずさみながら機密情報を掘り起こした(マニングはその後逮捕、投獄されたが、『暴露』によれば、その後女性として生きていくことを宣言し、チェルシー・マニングと改名した)。日本においても尖閣諸島沖衝突事件の映像が一海上保安官によって公開され、多くの人によってネット上で転送された。

2014年5月、米司法省はアメリカ企業の原子力発電などに関する機密情報が中国によって盗み出されたとして、中国人民解放軍の将校5人を告発したけれども、熾烈なサイバー戦争もまた当然、デジタル情報ならではの話である。

漏れない情報(秘密)はない、という一般論で言えば、もちろんデジタルに限らないわけだが、デジタル情報だからこそ漏れやすいというのがこのプリンシプルの意味である。この漏れやすいデジタル情報を封じ込めるために、漏洩したものを激しく罰する法強化が叫ばれがちだが、それが世の中を息苦しいものに変えていくことに注意したい(一方で、権力による情報収集は野放しに近いというのが、スノーデンの告発したことだった)。

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