2014年4月28日(月)

定年後、再雇用される人、捨てられる人

60歳からの働き方【1】再雇用

PRESIDENT 2012年11月12日号

著者
溝上 憲文 みぞうえ・のりふみ
ジャーナリスト

溝上 憲文1958年鹿児島県生まれ。ジャーナリスト。明治大学政治経済学部政治学科卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』(文春新書)で2013年度日本労働ペンクラブ賞受賞。主な著書に『隣りの成果主義』『超・学歴社会』『「いらない社員」はこう決まる』『「日本一の村」を超優良会社に変えた男』『マタニティハラスメント』『辞めたくても、辞められない!』『2016年 残業代がゼロになる』など。近著に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社刊)がある。

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ジャーナリスト 溝上憲文=文 武島 亨=撮影
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再雇用も再就職も独立も、定年世代にとって条件が厳しいことは間違いない。それでも、お金もやりがいも手にした「老後の勝ち組」たちは、現役時代にどんな努力をし、どんな準備を重ねてきたのだろうか。

「管理職ならできます」と言う人はいらない

定年後も会社が再雇用してくれるので安心と思っている人はいないだろうか。確かに高年齢者雇用安定法の改正で、2013年度から希望者全員の60歳以降の雇用確保措置が義務づけられた。しかし労働条件は別だ。

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7割の人は現役時代の「5割以下~最低賃金ギリギリ」

キャリアカウンセラーの中村卓夫氏は「経営状況が厳しい時代であり、賃金をできるだけ抑えたいというのが企業の本音。残ってほしい人でも現役時代の給与の6~7割ぐらいでしょう。会社にとって重荷でしかない人も希望があれば雇わざるをえませんが、給与は5割を切る人も珍しくありません」と語る。

では会社が再雇用したい社員とはどういう人か。

「メーカーであれば匠と呼ばれる真似のできない職人技の持ち主。たとえば特殊溶接やレンズの研磨に長けた熟練度の高い技能者だ。社内外でその分野の第一人者と言われる専門技術者は手放したくない」(中村氏)

実際に技術の流出を防止する狙いもあり、現役時代と同じ給与を払う仕組みを設けている企業も多い。しかし、そういう人材は1割にも満たない。

事務系では、グローバル事業で活躍できる人は貴重な存在だ。中村氏は「外国の税務会計に通じた経理の経験者や労働争議対策など海外現地法人の人事の経験者は重用される。海外事情に詳しく、語学ができる人は必要な人材」と指摘する。

こうした文系人材の再雇用後の給与は退職時の7割程度に下がる。それでも1000万円をもらっていた人は700万円。会社の企業年金を加えると800万円以上になり、公的年金がなくても十分に暮らしていける。

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