「人が交わる」ことで新しい価値が生まれる。職場空間を改革した4社のオフィスを見学してみた。

ガラス張りの空間が育む部門横断的交流

まず訪れたのは、日本水産の東京イノベーションセンター。研究施設というと秘密事項も多く閉ざされたイメージだが、この施設は驚くほど明るく開放的だ。4階までの各フロアは吹き抜け階段でつながっており、しかもすべてのミーティングルームはガラス張り。丸見えだ。「何話していたの? とざっくばらんに聞けるので、自然と会話が生まれるようになりました」(中央研究所/橋本朋子さん)。

以前は、同じ敷地内でも建屋は別であったため、他部署と打ち合わせをするにはアポが必要だった。「離れていましたし、顔を知らない人もいたので、他の部署へ行くときはよその会社に行くような緊張感がありました」(中央研究所/野口由里香さん)。

現在、ランチは全員が4階の食堂で摂るので自然と顔も覚える。顔を知っていれば話は早い。これまでになく気軽に「ここ教えて」「ちょっと来て」と声をかけやすくなり、部門横断的な交流が増えたという。

「組織横断的に動こうというスローガンはあったのですが、空間デザインが変わったことで、見事に実現されました」(中央研究所/杉山公教さん)

「調理ができるコラボルームもあるので、お客様や社外の方とのコミュニケーションも活発化しています」(食品開発センター/竹村裕二さん)

■顔が見えることで進む協働と連携
2011年4月に創業100周年記念事業の1つとして竣工された。研究者の利便性を考慮し、居室と実験室が隣接配置されている。4フロアにまたがった5つの研究部門のコミュニケーションを図るため、吹き抜け階段を設け、ここに打ち合わせスペースを設けた。密室がなくほぼ全館ガラス張りなので、お互いの仕事が見えやすく、自然と協働・連携も進むようになった。
(岩田亘平=撮影)
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