2014年3月11日(火)

謝罪会見オンパレード。なぜ火に油を注ぐか

PRESIDENT 2014年1月13日号

著者
田中 辰巳 たなか・たつみ
リスク・ヘッジ代表取締役

1953年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、アイシン精機入社。83年リクルートに転じ、秘書課長、広報課長、業務部部長などを歴任。ノエビアを経て97年に危機管理のコンサルタント業務を手がけるリスク・ヘッジを設立。『そんな謝罪では会社が危ない』など著書多数。

リスク・ヘッジ代表取締役 田中辰巳 構成=宮内 健
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不祥事の調査では、現場は必ずウソを言う

2013年10月、阪急阪神ホテルズが「メニュー表示と異なった食材を使用していた」と発表したのを皮切りに、食材偽装をしていたホテルや飲食店が次々に名乗り出て謝罪する事態になりました。

実は6月にもプリンスホテルで食材偽装が発覚していますが、そのときはあまり大きな騒ぎにはなりませんでした。率直にいえば、プリンスホテルに対する世の中の期待がそれほど高くなかったからだと思われます。

ところが高級なイメージのある阪急阪神やザ・リッツ・カールトン大阪で食材偽装が行われていたので、みんなびっくりしてしまいました。料理の値段も阪急阪神やリッツは高い。期待値と値段が高ければ高いほど消費者は驚き、腹が立つものです。

しかも、阪急阪神ホテルズの出崎弘社長(当時)は記者会見で「偽装ではなく誤表示だ」「あくまで社員の知識不足によるもの」と、とんでもない発言をしました。「私は寝ていないんだ」といった雪印乳業の石川哲郎社長、「知らんといえ」の船場吉兆の女将に匹敵する、記者会見史上に残る大失敗といっていい。

一口に食材偽装といってもさまざまで、非常に安価な食材を仕入れ高い値段で販売するような偽装もあれば、価格も味もほとんど変わらない偽装もあります。しかし、「偽装」という視点で見ればいずれも偽装であり、弁解の余地はありません。

飲酒運転で警察に捕まった人が「水だと思って飲んだら日本酒でした。だから飲酒運転ではなく誤飲です」と言い訳したところで通用しません。ところが阪急阪神ホテルズの社長は、記者会見で酔っぱらいの言い訳と同じようなことをいってしまったのです。

危機管理には「感知」「解析」「解毒」「再生」という4つのステージがあります。

「感知」とは何か問題を指摘されたとき、あるいは自ら気がついたときに「これはいけない」と感じ、しっかり調べることを指します。

たとえばバナメイエビを芝エビと表示する偽装が行われていることに気づいたら「ちょっと待てよ、ほかにもあるんじゃないか……」と考え、調査する。調査は偽装がどこまでの範囲で行われていたのかと、過去いつから行われていたのかという水平と垂直の二軸で調べる必要があります。

これらは記者会見で必ず質問される項目です。調査の際は「現場は必ず嘘をいう」と考え、必ず原本に当たらなければなりません。

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