また会社員が仕事上で負った怪我や病気なら、労災保険によって本人の負担はなし。仕事と関係のない怪我や病気の療養で3日以上仕事を休んだ場合は、健康保険から「傷病手当金」が月収の3分の2、最大1年6カ月支給される。

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死亡保障についても同様だ。一家の大黒柱が死亡した場合には、遺族の生活費、教育費などが必要との思いから、多額の保険に加入している人が多い。40歳の会社員の夫・専業主婦の妻・子供が2人いる世帯の場合で考えてみよう。

夫が死亡すると、第一子が18歳になる年度までは年間約125万円の遺族基礎年金(以後、第二子が18歳になる年度までは年間102万円)、加えて約17万円の遺族厚生年金を受け取ることができる。ほかに勤務先からは死亡退職金が支給されるのが一般的である。

これまで私が相談を受けた中でも、公的・勤務先の保障制度を調べると、医療保障も死亡保障も、ある程度の保障を得ておけば十分というケースが少なくない。民間の保険はほとんど必要ないという結論に達したケースすらある。ただし傷病手当金や遺族厚生年金のない自営業者は、保険で備える必要性は高くなる。いずれにせよ、まずは自らが該当する公的保障や勤務先の福利厚生の内容を確認、そのうえで適切な保障を得るというのが、保険を合理的に活用するためのセオリーだ。

もしもに備える手段は、貯蓄でもいい。保険は病気や怪我を負わなければもらえないが、貯蓄は何にでも使える。入院1日目からの保障が必要か、数日程度の入院なら貯蓄でカバーすると考えて保険への依存をどう改めるか。冷静に考えたい。

逆に、どんな特約なら付加してもいいのか。まずは「指定代理人請求特約」。代理人を指定しておけば代理人が被保険者本人に代わって保険金を請求できる特約で、ガンで本人が告知を受けていない場合などに威力を発揮する。また、死亡保険金を存命中に受け取ることができる「リビングニーズ特約」も、闘病を支えるのに効果的である。この2つの特約は、必要なとき確実に保険金を受け取るためのものだ。特約料がかからない点も指摘しておきたい。

(構成=高橋晴美)