保険金不払いが問題となった生保各社では、その防止策として、複雑な特約の見直しに乗り出した。保険は万が一に備えるためのものであり、いざというときに要件に合わず保険金がおりない特約や、もらわなくても困らない特約なら、付加する意味がない。必要な保障を必要な額だけカバーするのが保険の正しい活用法であり、保険をシンプル化する一助となる特約の見直しは歓迎できる。

たとえば日本生命の場合、以前は入院5日目からが支払い対象であった入院給付金が、新たな特約(総合医療特約)では1日目からの支払いとなるなどの変更が発表されている。既存の契約についても、告知・診査なしで新しい特約に変更できるが、保険料も見直される。

新しい特約に切り替えるべきか考える際、そもそも、どんな特約が必要なのかを明らかにしておくのが望ましい。そのためには「どんな保障が必要なのか」を考えるのが先決。最近はネットなどを通じて保険料を比較し、割安な保険を探し当てる人も増えている。しかしその一方で、「自分にはどんな保障が、どのくらい必要か」を理解している人は少ない。

たとえば、「高額療養費制度」という公的医療保険の給付をご存じだろうか。

窓口で払う1カ月分の医療費負担が一定額を超えた場合、超過分が公的医療保険から給付される制度である。100万円の医療費がかかり、患者負担としてその3割を負担したとしても、月収53万円未満の人なら実際の患者負担は8万円程度で済む。入院時の食事代(1食260円)や自らが希望した場合の差額ベッド代、先進医療などは対象外だが、かなりの部分が公的医療保険でカバーされ、本人負担はせいぜい10万円程度で済む。