一方、行動に向けた変化を起こすための質問が、「未来肯定形の質問」だ。

「今日、部下たちに一体感を持たせるために何をしよう」「リーダーとして成長するために五分投資するとしたら、何をしようか」「絶対に失敗しない保証があるなら、何をしよう」といった未来に向けたポジティブな問いかけである。

「未来肯定形の質問」には「もし、○○だったら~」という「マジック・クエスチョン」(魔法の問い)がある。この質問には、自分のことを他人事であるかのように距離を置いて考えることができるメリットがある。大きな目標をビジョンとして設定したためにそれに圧倒されて何から手をつけていいのかわからないような場合に、新たな視点から思考できるという点でこの質問は行動を起こすのに最適だ。

【未来肯定形の質問】

●もし予算が無制限にあったら何から手をつけるか?
●10年後、自分が社長になったとしたら、今の自分に何を期待するか?
●今取り組んでいる技術開発でノーベル賞がとれたら、次は何に挑戦するか?

このようなマジック・クエスチョンを頻度高く自分の中で起こし、脳内で考えていることを言語化する習慣が身につけば、行動は確実に変わり、自己変革は起きてくる。

たとえば人前で話すことに対して「嫌だ」「逃げ出したい」という不快感を抱いたときというのは、最も変化、成長に適した瞬間でもある。「嫌だ」と感じた瞬間、「これは変われるチャンス、成長できるチャンス」と捉えてはどうだろうか。変わることに対してコミットすると、ワクワクしたりスリルを感じたりするものである。

不快感を抱く瞬間というのは、実はグッと体温が上がる瞬間でもある。リスクをとること、変化すること、それを繰り返していければ、人生は自然と熱いものになっていく。

加速度的に変化し続ける社会を生き抜くためには、成長し続けなければならない。明日でも明後日でも1年後でもなく、今この瞬間にこそ変化を起こさなければならないのである。

(構成=三浦愛美)