全体としては、社員が目標を達成する助けとなるようなかたちで、個人の資質や行動と結びつけていく。ここでの目的は、前向きの流れを強化するような方法で、社員の行動にスポットライトをあてることだ。行動上の問題や、行動力不足については「改善を必要とする分野」として指摘する。目標について述べる部分には、否定的な空気を持ち込むことを避けたほうがよい。

目標の範囲と、達成のための姿勢を提示したら、次は、社員の声を聞きながら実践的な表現で、成功する可能性のある方法を、細かく策定していく。

「eコマースツールを活用して、オーダー処理を効率アップする」

「隣接3州の大学の校友会誌にもれなくあたって、広告掲載の可能性を探る」など。ここでは、実際の行動、情報源、行動プランを、できるだけ特定して述べるのがポイントである。

改善点を述べるのは攻撃ではなく共同作業

好材料、つまり社員がこの1年で輝いていた部分をすべて伝え、社員との協力のうえで、今後1年間の建設的な期待値を定め、それらの目標を満たすための現実的なロードマップができたなら、このタイミングで、伝えなければならないすべての問題点を提起する。単刀直入でありながら、威圧的にならない表現で、考えを述べることが肝心だ。アプローチの方法は4通りある。

[1] 否定的な場面でも、肯定的な面を強調する
[2] 批判する場合も、個人攻撃の枠を外して、相互の努力でよりよい結果につなげようという表現にする
[3] 厄介な問題の解決にあたって社員の協力を求める
[4] 不足を解消するにあたって、社員に柔軟性のある選択肢を与える

アメを見せ、ムチを使うのを恐れない

最後に、今後についての話をするときのスタイルだが、評価の目的が、業績に関する大きな欠陥を指摘することにあるならば、励ましのメッセージを伝えると同時に、このままだとどういう結果になるか、その可能性の範囲をはっきりと述べる必要がある。

評価の目的が、模範的な社員への賞賛を繰り返すことならば、この部分は抜かしてもよいし、インセンティブを与えることに重点を置いてもよい。

評価に賞賛と批判の両方を含めるのであれば、将来の展望の代わりに、バランスのとれた概況説明を簡単に記すのがよい。

忘れてならないのは、勤務評価を行う目的は、業績を向上させることであり、罰を与えたり、空虚なほめ言葉を連ねたりすることではない。正直に、かつ気配りを忘れないでいれば、評価をするという仕事は、それにかかわるすべての人の不安を減らし、より生産的な結果をもたらすものになる。

(翻訳=ディプロマット)