2013年10月22日(火)

長時間労働はどうすればなくせるか

しごとの未来地図

PRESIDENT 2013年11月4日号

著者
鶴 光太郎 つる・こうたろう
慶應義塾大学大学院 商学研究科教授

鶴 光太郎1960年生まれ。東京大学理学部数学科卒業。オックスフォード大学Ph.D.(経済学)。経済企画庁、OECD経済局エコノミスト、経済産業研究所上席研究員などを経て、2012年4月より現職。安倍政権の規制改革会議・雇用ワーキンググループ座長を務める。

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慶應義塾大学大学院 商学研究科教授 鶴 光太郎 構成=宮内 健 撮影=宇佐美雅浩 写真=Getty Images
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写真=Getty Images

現在の労働問題をめぐる大きな論点の1つが労働時間規制です。長時間労働はいわゆるブラック企業にとどまらず、多くの企業で慢性化していると指摘されています。しかし長年にわたり長時間労働が維持されてきたのは、企業や働く個人にとってメリットも存在するからだと考えられます。

長時間労働が起こる要因を整理すると、本人の自発的意思に基づいた「自発的」長時間労働と、「非自発的」長時間労働に分けられ、この区別が労働時間の問題を考えるうえで重要です。

自発的長時間労働の要因としてまず挙げられるのは、仕事中毒です。純粋に仕事が好きで本人が喜んで長時間労働を選択している状況ですが、アルコール中毒と同様、健康に害があるとわかっていてもやめられない側面があります。

第2の自発的要因は、金銭的インセンティブです。これは時間外労働を増やすことで、自分の所得を増やそうとするものです。

第3の自発的要因は、出世願望です。長時間労働は自分の時間を企業や仕事に捧げるという意味で、所属組織に対する忠誠心を示すシグナルの役割を果たすのです。

そして第4、第5の要因が人的資本の回収とプロフェッショナリズムです。前者は医師や弁護士のように資格取得や教育訓練に多大なコストを支払った場合、それに見合ったリターンを得ようとするインセンティブが働き、後者はプロ意識から長時間労働を厭わず一定水準以上の仕事をしようとすることで労働時間が長くなります。

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