自宅などの保有不動産を担保に老後の生活資金を融資する仕組みとして、ほぼ30年前に脚光を浴びたリバースモーゲージが、再び表舞台に立とうとしている。

これまで一部金融機関にとどまっていたリバースモーゲージ・ローンを、みずほ銀行が今夏、メガバンクとして初めて扱い始めたのがその象徴。さらに同行はこの10月、東京都に限定していた対象地域を1都3県に拡大し、同時に国内最多の有料老人ホームを運営・展開するベネッセ・グループの介護事業会社、ベネッセスタイルケアと同ローンで業務提携した。同社の老人ホーム入居希望者を顧客として取り込むのが狙いで、同ローンの取り扱いを加速する。

9月15日時点で65歳以上の高齢者が国内人口の25%を超え、1947~49年生まれの団塊の世代が今後、同ローン市場を支えるボリュームゾーンに育つとの判断が強く働いたのは言うまでもない。また、高齢者向け住宅市場には異業種からの参入も相次ぎ、市場拡大とともに、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅をはじめ施設の形態も多様化。入居前払金など同ローンの利用範囲が着実に広がると予想される。

2005年に同ローン市場に参入し、積極営業を展開する東京が地盤の東京スター銀行も、「ヘーベルハウス」ブランドで戸建て住宅事業を展開する旭化成ホームズと9月に、同ローンの顧客紹介業務で提携した。同ローンの潜在市場は約4.5兆円との民間調査機関の試算もあるほどで、世界最速で進む高齢化社会を前に、みずほ以外のメガバンクも前向きに市場参入を検討しているとされる。

半面、自治体によるリバースモーゲージの先駆者として81年に制度を導入した東京都武蔵野市は、地価下落で制度維持が困難になり、廃止も含む見直しに着手するなど厳しい現実も。金融機関がこれまで参入に慎重な姿勢を崩さなかったのも、資産デフレが続いてきたからだ。

が、今年7月1日時点での3大都市圏の基準地価が「アベノミクス」効果もあって5年ぶりに上昇、東京五輪開催決定で首都圏は一段の地価上昇が予想される。金融機関にとって最大のリスクだった担保価値下落の懸念は薄れ、同ローンが再び日の目を見るのは確かなようだ。