2013年10月8日(火)

Q12年3月23日、東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじの抽選が行われた。1等の当選金額は3億円で、前後賞を合わせると5億円に膨れ上がる。一攫千金の夢をつかもうと、東京・西銀座チャンスセンターなど“よく当たる”と評判の売り場には宝くじを買い求める人が長蛇の列をつくった。しかし、今回のグリーンジャンボの発行枚数はなんと2億2000万本。そのうち1等は22本しかなく、当選の確率は1000万分の1にすぎない。「まず当たらない」といってもよいのに、多くの人が夢を追い求めてしまうのはどうしてなのだろう。

大づかみな印象で判断する人間の性

私たちが何かをとっさに判断しなくてはならなくなったとき、周囲の状況を綿密に分析している余裕はほとんどない。そうした場合には、頭のなかでの閃きや直観に頼ることが多いはずだ。その「閃き」「直観」「おおづかみな印象」のことを行動経済学では「ヒューリスティック」と呼び、非合理的な人間の行動につながっていると考える。直観などというと、いい加減な印象を持つかもしれないが、日常生活のなかで無意識のうちに頻繁に活用しているものなのだ。

私たちは、毎日、テレビやインターネットなどを通して、大量の情報に囲まれながら生活している。そのなかで「喉が渇いたけれども、ジュースを買おうか、それともお茶を買おうか」といった何気ないものから、自分の人生を決定づけるような重大なものまで、さまざまな判断を迫られている。そこで詳細な情報を精緻に整理しながら決断しようとしても、コンピュータのようなずば抜けた能力がないと無理な話。だから、関連情報を瞬時に取捨選択しながら自分の置かれた状況を大まかにとらえて、意思決定せざるをえないのだ。

実は、そうした意思決定に際して私たちは、利用可能性が高い情報ほど過大に評価してしまう欠点を持っている。たとえば「バリュー株(割安株)」とネーミングされた投資信託を銀行で勧められると、「安値で放置された株が組み込まれていて、値上がりが期待できる」と単純に思い込んでしまう。

しかし、実際の保有株の構成内容は調べなければわからない。つまり、情報としては利用しづらい。そこでネーミングに含まれていてすぐに利用可能な「バリュー株」という情報にもとづいて、購入しようと判断してしまいがちになる。

グリーンジャンボ宝くじも券面の裏側を見れば、発行枚数が何枚あって、1等の当選本数が何本なのかがわかり、当選確率を計算することができる。しかし、いちいち計算するのは面倒であり、情報としては利用しづらい。そこで新聞やテレビの広告で盛んに宣伝される「1等3億円」という数字に目が向き、つい手を出してしまうことになるのだ。

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