経営革新の神通力もさすがに衰えた印象が否めない日本マクドナルドホールディングス(HD)の原田泳幸会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)が、傘下の中核事業会社、日本マクドナルドの社長とCEOを退いた。後任には8月27日付で、カナダ法人のサラ・カサノバ氏が就任。原田氏は会長に留まり支援役に回る。HDの経営は原田氏が全権を掌握したままとはいえ、本丸の事業会社のトップ交代は、2004年以降の「原田体制」が岐路にさしかかった現実を印象付けた。

カサノバ氏は日本を含む6カ国のマクドナルドで経営に携わり、マーケティング経験も豊富だ。04~09年の日本在籍中は「クォーターパウンダー」などの戦略商品を手がけ、収益拡大に貢献した実績がある。同氏の起用について、原田氏は同日の記者会見でみずから招いたとし、カサノバ氏を「ベストタレント(資質)」と最善の人選だった点を強調した。

しかし、HDは13年12月期も2期連続の営業減益を見通すなど、依然として業績に晴れ間は見えない。原田氏は今回の人事について「決して退任でなく、マネジメントの強化だ」と強気の弁に徹したものの、米国本社から人事刷新を迫られたと受け止められても不思議はない。その意味で言えば、今回の人事は「ポスト原田」を視野に入れた意味合いも濃い。

新体制下で事業会社は今後、マクドナルドのグローバルネットワークを生かした商品力の一段の強化などを通じ、低迷する販売のてこ入れを図る。カサノバ氏は会見で「6つの国での経験を生かし、日本法人を次の成長ステージに進めたい」と述べており、世界のマクドナルドとの連携が強まるのは確かだ。

一方、今回の人事は国内に市場を限られる外資系日本法人のある意味「逃げ場のない」苦悩もさらけ出した。資本的に独立した日本企業なら伸びしろが見込める海外で成長戦略を描けるが、外資系は基本的に国内での事業展開に絞られる。原田氏が「日本市場はダウントレンド」と指摘するまでもなく、少子高齢化などの構造要因から市場は縮小基調にあり、成長戦略を描くのは容易ではない。

業種こそ違え、米本社からの独立色が強く、代々日本人社長が続いた日本IBMは、長期低落傾向に歯止めがかからず、昨年5月に56年ぶりに外国人社長を送り込まれた。マクドナルドの人事にも、そんな外資系の苦悩が滲んで見える。