家電大手3社が、第1四半期決算でいずれも対前年比増収増益を達成した。だが、この数字にだまされてはいけない。現地通貨ベースで決算内容を見ると、改善されていないか、むしろ悪化していることがわかる。

パナソニックの海外売り上げを現地通貨ベースで見てみると、米国が-8%、欧州-14%などすべての地域でマイナス。国内の売り上げも-6%で、円安の影響を除けば、昨年より悪化しているという状況だ。ソニーも、液晶テレビやビデオカメラ、PCなど、ほとんどの商品で販売台数を下方修正している。

3社のうち、相対的に決算内容がよかったのはシャープだ。同社の海外売上高比率は3社中もっとも低く、業績を左右するのは国内の動向。液晶テレビの採算性が改善し、スマートフォン、太陽光発電システムの売り上げが好調に推移した。だが、同社の場合も、次の成長の柱が見つかったわけではない。

3社はどの時点で戦略を誤ったのか。

シャープの岐路は2007年、堺工場建設の発表に遡る。同社は半導体を捨てて液晶テレビに賭け、亀山工場での生産を続けていた。だが、10年に堺工場が完成し、生産能力が急拡大すると、液晶パネルを外販しなければ設備投資額を回収できない状況に陥った。外販を増やすために重要なのは、質より価格。圧倒的な価格競争力を持つサムスン電子に太刀打ちできなかった。

ソニーの場合、高性能半導体「セル」の失敗が岐路となった。同社はセルをゲーム機のPS3だけでなく、他の家電製品へ展開することを狙っていたが、立ち上げ時の歩留りが低く、投資回収の見通しも悪化。07年には生産から撤退した。もし、当初の目論見が実現していれば、日本から新しいコンピュータや家電が生まれていた可能性もある。

パナソニックの岐路は03年3月期、中村邦夫社長(当時)がV字回復を成し遂げたときだろう。同社は02年3月期に創業以来初の赤字を記録。業績を立て直すべく、人員削減をはじめ、大規模なコスト削減を行った。だが、その過程で海外市場へ攻めるという発想が抜け落ちてしまった。

3社の復活までの道のりは、いずれも険しい。グローバル市場でトップシェアをとれる商品を早急につくらなければ、未来は暗いだろう。