2013年8月27日(火)

「人気の仕事」に就いてはいけない

しごとの未来地図

PRESIDENT 2013年9月16日号

著者
遠藤 功 えんどう・いさお
早稲田大学ビジネススクール教授 ローランド・ベルガー会長

遠藤 功早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士。三菱電機、米系戦略コンサルティング会社を経て現職。良品計画社外取締役、ヤマハ発動機社外監査役も務める。主な著書に『現場力を鍛える』『見える化』『新幹線お掃除の天使たち』など。

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早稲田大学ビジネススクール教授 ローランド・ベルガー会長 遠藤 功 写真=PIXTA
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会社を選ぶべきか、仕事を選ぶべきか

私は32歳のときに、大手電機メーカーから外資系コンサルティング会社へ転職した。今思えば、これが人生の転機だった。

成功するという確証はまったくなかったが、「外から会社を変える」という仕事に魅力を感じ、挑戦したいという渇望を抑えることができなかった。それ以降、会社は3度転じたが、コンサルタントという仕事を25年も続けている。プロ野球やサッカーの選手がチームを変えるように、自分が最も活躍できる「場」を求めて、移っただけだ。

新卒で電機メーカーを選んだときも、「会社」というよりも「仕事」を基軸にして考えたつもりだった。当時の私は「世界を股にかけてバリバリ活躍する海外営業」に魅力を感じていたので、そうした仕事ができる可能性の高い会社を選んだ。給料や勤務地よりも、仕事を優先しての選択だった。

しかし、コンサルタントに転じてみて、「仕事」を選ぶということがいかに大変なことかを身をもって体験した。外資系コンサルティング業界では「Up or Out」とよく言われる。「2年で実績を残し、昇進できなければ、去れ!」という意味だ。

「仕事」を選んだからには、その「仕事」ができなければ、その組織にいる価値はない。だから、みんな死に物狂いだ。転職してからの2年間、私はプライベートをほぼ100%犠牲にして、仕事漬けに徹した。他のことを考える余裕はまったくなかった。

新卒のときに、「会社」ではなく「仕事」で選んだと書いたが、「大組織という庇護の下で自分の好きな仕事を選ぶ」なんていう考え方がいかに甘いかを痛感した。サラリーマンという「安定」を求めたのであれば、「やりがい」という自己欲求はある程度犠牲にせざるをえないのが現実だ。仕事を選択する際の基準である「やりがい」「安定」「報酬」の3要素はトレードオフの関係にある。

幸い、私は2年で放り出されることもなく、なんとか生き残り、マネジャーに昇格した。同期で入社した中途採用者の中には、生き残れずに転職を余儀なくされた人が何人もいた。

しかし、25年経って、彼らのその後を追ってみると、著名な外資系事業会社のトップにまで登り詰め、大成功している人が何人もいる。「Up or Out」と言いながら、実は「Up or Up」になっていた。コンサルタントとして成功するか、他の世界で成功するかの違いはあるが、あの濃密な2年間が私たちを「仕事師」として徹底的に鍛えてくれたのは間違いない。

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