今年7月、ソフトバンクが米・スプリント・ネクステルの買収を決めたが、背後には議決権行使助言会社大手・ISSがスプリント株主に「ソフトバンクの計画に賛同するよう勧告した」経緯があった。

議決権行使助言会社(Proxy Adviser)とは、機関投資家などに議決権行使の助言を行う会社だ。米国では1980年代後半から急成長した。これが、形骸化している株主総会が変わるきっかけになればいいのだが、問題もあるようだ。

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株主に助言しつつ、上場企業からも対価を受け取る

「課題は2点ある。1つは議決権行使助言会社が企業に対するコンサルティング業務を行っているため、利益相反の問題が起きること。2点目は、この業界が非競争的であることだ」と明治大学商学部教授・三和裕美子氏は話す。

業界ではトップのISSと2位のグラス・ルイスで97%のシェアを占め、企業への影響は甚大だ。米国では情報公開を求める声が上がったり、あるいは大手の機関投資家は自力で議決権行使判断を行う動きが見られ、「欧米では対抗勢力が育っている」(三和氏)。

日本企業にとっても対岸の火事ではない。「ISSは2013年の助言ポリシーで、社外取締役を1人も置かない会社の代表取締役選任議案についての反対推奨を行った。結果、社外取締役をおいていないキヤノンでは、今年の株主総会での代表取締役選任議案は賛成72%(昨年は91%)と非常に低くなった」と三和氏は指摘。国内事情の理解が困難な外国人投資家は、議決権行使助言会社の方針に従う傾向が強くなる。外国人投資家の割合が高まる昨今、日本でも“対抗勢力”の育成が急務だ。