「ビットコインで払えます」と看板を出す店も現れた(ドイツ・ベルリン)。(PANA=写真)

サトシ・ナカモトという謎の人物が作った電子マネー・ビットコインが、世界中で注目されつつある。

ビットコインは、2009年にネット上に登場した。暗号化技術の高さや、「金融機関に対する信用に依存せず、国家と独立したもの」という触れ込みが評判になり、リバタリアン(「小さな国家」を志向する人々)の支持を得たことで広まった。現在、総流通量は額面で10億ドルを超える。

「アイデアは昔からあったが、仕掛けがうまくいった。貨幣に必要なのは“評判”だ」と東京大学名誉教授の岩井克人氏は話す。同様の仕組みで1994年に登場したEキャッシュも一時期脚光を浴びたが、運営元のデジキャッシュ社は98年には破綻している。

しかし、ビットコインの相場は不安定でもある。一時250ドルを超えるほど急騰したが、今年4月に130ドル付近まで暴落。「最終的には『世界ビットコイン中央銀行』が必要かもしれない。そうなるとリバタリアンの考えとは矛盾する」(岩井氏)。

ケインズはかつて「バンコール」という世界共通通貨を提唱したが、米国の反対にあった。「2つの通貨が同時に基軸通貨になることは不可能」(岩井氏)なのだ。米国ではなく、英国のNPOから広がりつつあるビットコインは、米ドルと置き換わる可能性を持つ通貨として期待されているようだ。

経営者は何に備えるべきか。「早めに参入する必要はない。お金とは『自分で使う』ことより『人がどれだけ使うか』だ。他の人がどう活用しているのかという点に注視しておくべきだろう」(岩井氏)。