定年退職後はリタイア生活を謳歌……人生100年時代ではそんなライフスタイルも過去のものに。老後の生活はどう維持すればいいのでしょうか。50代以下のビジネスパーソンを悩ませる問題に、すでに定年退職を迎えた60代以上が実際にどのように暮らし、備えてきたかを聞きました。
プレジデント編集部では、2022年8月、PRESIDENT Online会員に対してアンケートを実施。40代未満207名、50代780名、60代966名、70代以上259名の計2212名分を集計しました。
まず、Q1では50代以下の回答者に「定年後も働きたいと思いますか?」という設問では、「働きたい」と回答した人が83%で、半数以上を占めています。定年前の多くのビジネスパーソンが定年後も働き続けたいと考えているようです。令和3年4月に改正された「高年齢者雇用安定法」で、雇用確保措置の年齢が70歳までに引き上げになりました。長く働ける環境が少しずつ整い、定年後に働くことを希望する人も増えているのではないでしょうか。
先ほど「働きたい」と回答した人にQ2で「定年後も働きたい理由」を聞きました。最も多かった回答は「自分と家族の生活を維持するため」で、回答の45%を占めています。次に多かった回答は「社会参加のため(18%)」「生きがいのため(16%)」でした。定年後も働きたい理由は、生活やお金などの「経済的な理由」と、社会参加や生きがい、健康の維持など、「自己啓発的な理由」にわけられるようです。定年を迎える前から検討し、60歳、65歳を超えても働き続けたいと考えているビジネスパーソンが多いことがわかります。
また、Q3では60代以上の回答者に「定年後も働いていますか?」という質問をしました。年収600万円以上と年収600万円未満にわけ、回答をまとめています。年収600万円以上は90%、年収600万円以下でも74%が「働いている」と回答し、回答者のほとんどが60歳以上でも働いているという状況でした。いまや、60歳で定年、その後はセカンドライフを満喫……という選択は、珍しいといえるのかもしれません。
さらに、Q4では60代以上の回答者に「役職」を聞きました。こちらも年収600万円以上、600万円未満にわけて回答をまとめています。年収600万円以上の回答では、経営者・役員、管理職が多く、この2つの項目を合わせると67%になります。一方で600万円未満は、経営者・役員と管理職を合わせても18%で、600万円以上の半分以下という結果でした。60代以上で年収600万円以上の回答者は役職がある人が多いことから、60歳を越えてもビジネスの最前線で働く人がたくさんいるようです。
Q5では定年後も「働いている」と回答した60代以上に、その理由を聞きました。こちらも年収600万円以上、600万円未満にわけて回答をまとめています。注目したいのが、年収600万以上の回答の「生きがいのため」という回答。年収600万円以上の回答の中では、「社会参加のため」「生活水準を上げるため」を抑えて、2番目に多い結果になっています。仕事に人生の生きがいを見出し、定年を迎えても働き続けたいというビジネスパーソンの前向きな姿勢がうかがえます。
最後に、Q6では「定年後も働き続けるために、準備していたことがあれば教えてください」という質問をしました。年収にかかわらず定年前から何かしらの準備をしていたビジネスパーソンが半分以上を占めています。特筆すべきは、年収600万円以上の回答で「転職活動」「再就職活動」「独立・起業・副業」など、新しい環境で働く準備をしていた人が多い点です。同じ職場で働き続けるのではなく、定年という節目を迎えるにあたり、将来に向けて自身のさまざまな選択肢を考え、違う環境で働く準備をしていることがわかります。
時代は人生100年時代と言われる昨今。多くのビジネスパーソンは、定年で仕事をリタイアして老後を悠々自適に過ごすのではなく、「(定年後も)働き続ける」もしくは「(定年後も)働き続けたい」人が増えています。「働き続ける」ために、自分のスキルを磨く、就職活動をするなど、定年後のために備えている人も少なくありません。これからの時代は早くから人生設計をし、将来に備えることがどんなビジネスパーソンにも必要といえるのではないでしょうか。
*四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
*調査&集計方法:2022年8月、PRESIDENT Online会員に対してアンケートを実施。40代未満207名、50代780名、60代966名、70代以上259名の計2212名分を集計。
*構成:PRESIDENT編集部
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