プレジデント調査室_vol.14 誰に、仕事で認められたいか?
仕事や人生の重要テーマについて、PRESIDENT編集部が独自に行った調査からビジネスリーダーの偽らざる本音をあぶりだす「プレジデント調査室」。その調査結果について、PRESIDENT Business Portalにてお伝えします。第14回のテーマは「承認欲求」です。

成し遂げた仕事を他人に認められる喜びは働く醍醐味のひとつ。大きな成果を出したときほど、褒められたいと思うのは自然な感情でしょう。ただ、周囲への対応を間違えると、構ってほしがりやの「面倒な人」になりかねません。ビジネスパーソンは自分や同僚の承認欲求にどう対処しているのでしょうか。

プレジデント編集部では、2023年1月、PRESIDENT Online会員に対してアンケートを実施。計2747名分を集計しました。

【図表】あなたの役職を教えてください

まず、Q1では今回の回答者の役職をうかがいました。回答者のうち、経営者・役員、管理職を合わせたビジネスリーダー層は48%で、約半数を占めています。一般社員も足し合わせると81%となり、回答者の8割がビジネスパーソンといえます。

【図表】あなたは承認欲求が強いほうですか

Q2では「あなたは承認欲求が強いほうですか」という質問をしました。回答を「経営者・役員」「管理職」「一般社員」と役職ごとにまとめています。それぞれの役職で「かなり強い」「強い」を合わせると管理職が50%で一般社員の46%、経営者・役員の44%と若干多い結果になっています。

【図表】承認欲求は仕事において必要ですか

Q3では「承認欲求は仕事において必要ですか」という質問をしました。「絶対に必要」の回答をみると、経営者が19%で管理職、一般社員と比べると多くなっています。一方で、「なくてもいい」「ないほうがいい」の2つを合わせた割合をみると、一般社員は16%で、経営者・役員・管理職に比べると少し多いです。ビジネスリーダーと呼ばれる層と、一般社員では意識に違いがあるのかもしれません。

【図表】承認欲求が強い仕事仲間をどう感じますか

Q4では「承認欲求が強い仕事仲間をどう感じますか」という質問をしました。経営者の回答をみると、「頼もしい」という回答が19%で、管理職(15%)、一般社員(11%)と比べて少し多くなっています。承認欲求が高い仕事仲間を比較的ポジティブにとらえているようです。一方で、管理職・一般社員の回答をみると「扱いづらい」が40%で、経営者・役員よりも承認欲求の高い仲間に対して、ネガティブな印象を持っている人も一定数いることが推測できます。

【図表】仕事において最も承認欲求が満たされるのはどんなときですか

Q5では「仕事において最も承認欲求が満たされるのはどんなときですか」という質問をしました。青が経営者・役員、赤が管理職、グレーが一般社員を示しています。どの役職においても比較的回答が多かったのは、「自分の意見や提案が通ったとき」です。特に管理職においては4割を超えています。また、管理職に関してはほかに「昇進したとき」という回答が14.1%で、経営者・役員や一般社員と比べ、突出して多くなっています。お客様と向き合うことはもちろんですが、クライアント業務以外にも上司や部下、組織の調整役をすることもある管理職。“昇進”によって自分の仕事を認められたと感じるのではないでしょうか。

【図表】仕事で承認欲求が満たされないとき、どうしますか

Q6では「仕事で承認欲求が満たされないとき、どうしますか」という質問をしました。Q6の結果は役職ごとに割合の高い項目が異なるのが特徴的です。まず、「これまで以上に今の仕事を頑張る」の項目は、経営者・役員が39.9%、管理職が30.9%で、ほかの回答項目よりも多くなっています。一般社員も24.3%と比較的多いですが、この項目よりも「家庭や趣味など、仕事以外の分野で承認欲求を満たす」という項目のほうが、30.7%と多くなっています。経営者・役員、管理職と一般社員の間では、仕事で承認欲求が満たされない場合の対処法が違うことがわかります。また、「誰かが見てくれるまで、今の仕事を続ける」という質問の項目では、管理職の割合が24.3%で、経営者・役員や一般社員よりも多くなっています。経営者、一般社員とは違い、管理職の仕事で満たされない承認欲求は“今できる仕事を続ける”ことで対処していく、という姿勢を感じます。

【図表】誰に認められたときに最も承認欲求が満たされますか

Q7では「誰に認められたときに最も承認欲求が満たされますか」という質問をしました。いくつかの項目の中でも特徴的な回答は、上司と取引先です。上司は経営者・役員が22.1%だったのに対し、管理職は42.9%、一般社員は40.6%という結果でした。管理職と一般社員においては、ほかの項目と比べても多くなっており、社内で自分自身の仕事・動きをみている上司に認められたときに承認欲求が満たされるようです。もう1つ特徴的な項目が取引先です。この項目は経営者が32.5%で多くなっていますが、対して管理職は18.6%、一般社員は16.7%で経営者ほどは多くなっていません。経営者・役員は、会社として取引先に評価されることで承認欲求が満たされるように感じるのではないでしょうか。

仕事が認められる喜びはビジネスパーソンにとって、仕事の醍醐味ややりがいの1つといえるでしょう。Q4の回答結果からわかるように経営者・役員等のビジネスリーダー層からみれば、承認欲求が強い仕事仲間は「頼もしい」と思う人も少なくありません。一方で、「認められたい」という強い承認欲求は、周囲から「扱いづらい」人と思われるかもしれません。同じくQ4の結果をみると、管理職と一般社員においては、4割が「扱いづらい」と回答しています。

周囲にネガティブにとられない適度な承認欲求を持つことが、自身の業務や組織の活性化につながるのではないでしょうか。また、もし現状でなかなか承認欲求が満たされていなくても、Q6の回答結果からもわかるように、ビジネスパーソンは「今ある仕事に向き合う」「仕事以外で承認欲求を満たす」など、満たされない承認欲求に不満を持つのではなく、何かしら対処しているようです。もし、自分の承認欲求が満たされないことがあっても、気持ちを切り替えて適切に向き合い対処することが必要ではないでしょうか。

*四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
*調査&集計方法:2022年11~12月、PRESIDENT Online会員に対してアンケートを実施。計2747名分を集計。
*構成:PRESIDENT編集部

『PRESIDENT』では、今後もこのような読者への独自調査を続け、ビジネスパーソンの本音をひもとく取り組みを続けてまいります。

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