Q UCOMは新サービス、新事業の開発を積極的に行っておられます。まずアクセスサービス領域での近年の代表的な新サービスについて教えてください。

鈴木 我々は「ギガをスタンダードに」というキャッチフレーズで、ギガビットクラスの広帯域サービスを推進してきました。

インターネットの世界はベストエフォート(最善努力。通信の世界ではインターネットの回線速度の最大の数値は決められているが、速度が保証されているわけではないことの意味)が原則ですから、回線が混み合っているときに「つながりにくいのは仕方がない」という考え方が一般的です。しかし、ビジネスユースではやはり安定的に、優先的に使いたいというニーズが強い。

そこで新しく開発したサービスが、安定した回線品質を保証するSLA(Service Level Agreementサービス品質保証制度)を標準装備した「スタンダードギガビットアクセス」です。さらに最低帯域保証(上り契約帯域の10%分を最低帯域保証としてご提供)と充実のサポートをプラスして、より安心感の高いネット環境を提供しているのが「プレミアムギガビットアクセス」になります。

Q 一方で、新しくエネルギー関連事業も展開されている。

鈴木 エネルギー関連事業として「UCOMエネルミー」を立ち上げ、今年2月からマンションを中心とした集合住宅向けの電力一括受電サービス「とくエネ」を開始しました。これは各地域の電力会社から業務用電力を我々がまとめて購入して、集合住宅の各戸や共有部に廉価な料金で電力を供給するサービスです。

通常、通信事業はB to Cのビジネスですが、我々はB to B to C、つまり最終顧客を見据えながら、マンションをつくるデベロッパーや管理会社などを一次顧客としてアプローチしてきました。結果として2012年に首都圏で新築されたマンション(完成ベース)の総戸数の約3割にUCOMの回線が全戸に対して導入されています(2013年6月UCOM調べ)。この数字は業界トップクラスです。

マンションを中心とした集合住宅向けのサービスとして回線の保守やメンテナンス、回線を利用した防犯カメラの設置や居住者専用マンションポータルサイトなども手掛けており、「とくエネ」の電力一括受電もその一環です。電力メーターにスマートメーター(次世代電力量計)を採用し、マンションポータルサイトと合わせて提供することで、家庭での電力の使用状況や請求額をパソコンやタブレットのブラウザを通じて簡単に確認できます。

Q 新サービスや新事業を次々に生み出すUCOMの原動力は何ですか。

鈴木 UCOMの平均年齢は非常に若く、「現場力」が強い。何とかしようというときに、本当に強い気持ちを持った動き方をします。だから私が各論で余計なことを言わないほうが、かえっていい(笑)。そういう社風が強みなのだと思います。