企業の発展を支える「人材」の獲得競争が激化する中、就活生との限られた接点を最大限に生かし、つながりを強化するための工夫が求められている。それを後押しするのが、SNSに特化し、AIなどによる強力な機能拡張で進化を続ける採用管理ツール「らくるーと」だ。求める人材とのマッチング精度の向上、歩留まり改善にどう貢献するのか、開発を手がけるアイシスの代表取締役社長・政平秀樹氏に聞いた。

――まず、「らくるーと」の特徴について教えてください。

【政平】やはりLINEやInstagramといった「SNSに特化した採用管理ツール」であることが最大のポイントです。20代、30代をはじめ、もはや世代を問わずに皆さんが使い慣れているSNSを通じて、企業と応募者の間でスムーズにメッセージのやりとりができる他、多忙な採用担当者の業務をサポートするさまざまな機能を備えています。当社が実施した調査では、大学生たちが「普段の連絡手段」として利用しているのはメールや電話ではなくSNSが8割近くを占めており、そのうち最もよく使われているのはLINEが圧倒的にトップで88.3%、次いでInstagramが34.9%という結果でした(2024年3月「就職活動におけるSNS活用に関する比較調査レポート」より)。

【図表1】採用活動を加速させ、担当者の業務負担軽減も実現する「らくるーと」

そもそも今の就活生にはメールを小まめにチェックする習慣がなかったり、採用サイトへログインするのが面倒だったりといった理由から、企業が送ったメッセージが「見られていない」というケースも多いのです。また、電話だとかけてもなかなか出ない、折り返しのタイミングが合わないなどで採用の機会を損失している、そんな企業さまの声も多く聞きます。いつも使っているSNSなら見落とされてしまう可能性は低く、スピーディーで活発なコミュニケーションが期待できます。堅いビジネス文書だけではなく、絵文字なども織り交ぜやすくなることで、親近感や安心感なども付加できるでしょう。

円滑なやりとりによってエントリー意欲が向上

――どんな課題の解決が期待できるのでしょうか。

【政平】就活生とある日連絡が取れなくなってしまった、アピールしたい先輩社員の情報を送ったのにどうやらまったく読まれていないなど、自分たちの思いや熱意が届いているのかどうかよく分からないとおっしゃる企業さまは少なくありません。実際、中小企業では採用の専任者が少ないため応募者との十分なコミュニケーションが取れず、しかも業務の属人化も進んでしまっているこの状況を何とかしたい。一方で大手企業の場合は、母集団は確保できているものの、説明会から選考への動きが鈍い、歩留まりが改善しない――。そうした理由から、らくるーとの導入を決めていただくことが多いですね。

政平秀樹(まさひら・ひでき) 株式会社アイシス 代表取締役社長
政平秀樹(まさひら・ひでき)
株式会社アイシス 代表取締役社長

具体的な導入効果としては、説明会から選考への参加率が45.2%増、採用率46.3%増などの事例が報告されています。連絡手段を応募者の行動習慣に合わせて円滑なやりとりを行ったことで、企業に対する理解がより深まり、エントリー意欲の向上につながったと分析しています。また、ユニークな使い方をされている例もたくさんあります。内定者に向けてSNSで年賀状の画像を送ったり、社内の雰囲気やイベントの様子が伝わる動画を共有したりすると、特別感もあって、入社への期待値がグッと高まるようです。

――業務を自動化できる豊富な機能が搭載されていますね。

【政平】採用担当者の皆さんは企業説明会の準備や開催、打ち合わせ、面接などをいろいろ終えて、夜になってようやく選考への参加を促す案内をメールしたり、応募者と会う日程を調整したりするわけです。

これまでなら1週間程度を要していたような業務も、らくるーとならGoogleやMicrosoftのカレンダーと同期して空き時間抽出や登録の自動化で日程調整の負担を軽減できますし、Zoomとの連携機能によって、説明会や面接のURLを自動生成してすぐに参加を案内することで応募者の離脱を防止します。スマホアプリを使えば外出先でも応募者のメッセージを見逃さずにスピーディーな対応が可能で、LINEのリッチメニューを簡単に作成してその企業らしい魅力を発信できる独自の機能も備わっています。採用活動に特化したリッチメニューのデザインテンプレートをご用意しており、色や書体などで企業の個性を打ち出しつつ、選考前や内定後といった応募者が「フェーズごとに今欲しいと思っている情報」を提供できます。

「人と人」の関係性の構築により注力できるようになる

――注力する領域は。

【政平】特に、AIを活用した機能を拡充していく方針です。すでに「応募者から寄せられた質問への適切な回答例」や「しばらくやりとりのない応募者に対する、会話のきっかけとなるメッセージ案」を提示するといった「コミュニケーション支援機能」が搭載されています。これらをより強化していくとともに、簡単な質問に回答するだけで企業が理想とする人物像を言語化して可視化できる「ペルソナ生成機能」の実装を進めている他、応募者とペルソナがどの程度マッチしているかを点数やコメントで示す機能も連動させたいと考えています。

多くの企業で人手不足が深刻化する現在、採用担当者の時間や労力を日程調整などに費やすのではなく、「人と人とのコミュニケーション」に集中させることがますます重要視されると思います。らくるーとを活用してそんな環境を整えることで、採用担当者の人柄も含めた会社の多様な魅力を、もっと伝えられるのではないでしょうか。

互いの発展を実現しながら永続的な信頼関係を目指す

――今後の展望をお願いします。

【政平】当社はシステム開発を本業としており、ヒアリング、サポート、開発・検証まで、全ての工程を自社の社員が行っています。お客さまのニーズやお悩みを聞いて、いかにその課題を解決するかという点に軸足を置き、単にツールを提供するだけにとどまらず「お客様との永続的な信頼関係を結ぶこと」を経営理念として掲げています。その姿勢はらくるーとの開発においても一貫しており、お客さまのニーズを起点にして、2022年のリリース以降、年間で80もの機能改善を重ね続けています。携わっている社員は就活生と同年代のメンバーが中心で、まさに「SNSの使い方を知り尽くす世代」によるリアルなアイデアが常に飛び交っています。お客さまの成長とらくるーとの成長がリンクし、ずっと隣にいてほしいと思われる存在であること、それが私たちの望む未来です。