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僕自身が“悩み”の真っ最中…妙案があったらアドバイスを!

これまでいろいろな質問に答えてきましたが、今回のテーマが一番難しい。なにしろ僕自身が悩みの真っ最中ですから(苦笑)。

わが家には社会人から大学生・高校生まで、7人の子供がいて、常に誰かが悩みを抱えています。目下、わが家のテーマは「進路問題」。大学生の次男・三男は「なぜ大学に通うのか」に悩み、中退も選択肢として浮上している模様。文系の子は学部の授業が自分に合っていないと感じ、理系の子は専門が細分化されすぎていて、「本当にやりたいこと」とのズレに苦しんでいる。間もなく就職活動が待っており、「このままでいいのか」という不安が拭えないようです。

でもね、僕から言わせれば、大学生の年代で将来やりたいことがはっきりしている人なんていますかね。いるとしたって一握りでしょう。息子たちは「大学の授業がつまらない」って言うけど、振り返ってみれば僕だってそうでしたよ。

20歳前後の年代はまだ何者でもありません。中高生とも社会人とも違って時間に余裕があり、成人していたら自由はあり余るほどある。お酒だって飲めるじゃないですか。そういうときこそ悩むのがいい。むしろ思い切り悩むべきです。グチャグチャ惑うことが許されるゴールデンタイムがこの時期だと思います。悩んでこそ、自分の道が見えてくる。

そう伝えてみても、子供たちの反応は鈍いんですよ。今の若い子は僕らの頃よりも案外マジメで、やりたいことや進路がすぐに見つからないのはいけないことだと考えがちです。

でも、自分の道が決まっていないことが悪いんじゃなくて、道を見つけるために悩んだり、その努力をしなかったりすることが悪いんです。僕や周囲の人の実体験を交えてそのように話すんですが、真意が伝わるかというと難しいんですよね。

例えば僕自身は法学部ではなく政治経済学部に通っていたのに、大学2年のときに個人的な体験から司法試験を志し、卒業と同時に合格しました。ちょっと変わった経歴です。また、職業柄、有名人や成功者の話をたくさん聞いてきました。その経験を基に、「若いうちは悩んで当然」とか「向いていないことでも一生懸命取り組んだら意外な道が開けるぞ」とか話すんですが、「そんなの特別な人の話じゃないか。普通の人の参考にはならないよ」と一刀両断で返されます。

まあ確かに、中学や高校の野球部員に「大谷翔平選手も昔はこうだった」という話をしても、プレッシャーにしかならないですよね。若い頃は誰しも自分が「何者でもない」ことに焦りを感じるもの。しかも現代はさらにSNSで簡単に「成功者」の情報が入ってきます。それを見て余計に、「早く何者かにならなければ」と気持ちが急くのかもしれません。

一方で、早いうちに「本当にやりたい仕事」を見つけて突き進める人なんてごくごく少数。むしろ多くの人は、想像していたものとは違う仕事に就き、働くうちにやりがいや楽しさを見つけていくものです。そのことはぜひ理解してほしいですね。

今、就職氷河期世代への対策が政治問題化しています。僕よりも少し後に大学を出た氷河期世代は新卒採用の入り口が狭まり、一社も内定を取れない人が続出しました。そういう中では、たとえ希望の業界や職種でなくても内定をくれた会社へとりあえず入社し、「しばらくは頑張ってみよう!」と考えたはずなんです。

同じように、学部や学科の内容が自分には向いていないと感じたとしても、中退するのではなく、とりあえずは卒業して、それから次のステップへ向かえばいいんじゃないかと僕は思っています。でも、子供たちとはそのあたりの意見が食い違ってしまうんですよね。悩ましい限りです。