読解力と書き取り能力が向上した背景

生まれてから猛スピードで成長する時期に絶対に欠かせないのが、脳を「つくる」ための脂質とタンパク質。なかでも、「賢い脳」をつくるカギを握るのが、脂質です。それを科学的にあきらかにしたのが、イギリス・オックスフォード大学が発表した、子どもの脳の働きとDHA摂取の関係を調べた研究(図表1参照)。

【図表】DHAで「読み書き」の力が向上
出典=『「賢い脳」は脂が9割』(プレジデント社)

研究では、5歳から12歳までの112人の子どもに3カ月間、DHAのサプリメントを摂取させたところ、読解力と書き取り能力が有意に向上することが分かりました。なぜ、このような結果が出たのでしょうか?

それは、脳内でつくられる「情報ネットワーク」のなりたちに理由があります。

「脳が成長する」とは、イコール「神経細胞がシナプスで結びついていくこと」でしたね。このネットワークが密であるほど、思考力や情報処理能力、記憶力の高い「賢い脳」になれるわけです。

この情報ネットワークをたくさんつくるためには、シナプスの材料が必要です。その材料こそが、DHAやEPAなどの「オメガ3系脂肪酸」なのです。どんどんシナプスをつくり、神経細胞を連結させるためにも、オメガ3を十分にとることが欠かせないのです。

脳の構造の柔軟性が「頭の回転速度」を決める

よく、頭がよい人のことを「あの人は、頭のやわらかい人だ」と表現しますね。実は、これは比喩ではありません。実際に、「賢い脳」はその構造がやわらかくできているのです。

なぜなら、脳の構造がやわらかいほど情報伝達が速くなり、その情報を処理するスピードもアップするから。結果、脳がやわらかいと「頭の回転が速い人」になれるというわけです。もう少し詳しく見ていきましょう。

情報処理や記憶は、神経細胞の間でシナプスを通じて「神経伝達物質」をやりとりすることで行われています。このとき、神経伝達物質を受け止める「受容体」の細胞膜がやわらかいほど、情報のやりとりがスムーズになることが分かっています。

【イラスト】脳をやわらかくすると 情報伝達が活発になる
出典=『「賢い脳」は脂が9割』(プレジデント社)

逆に、細胞膜が硬くなると神経伝達物質のやりとりが滞りやすくなるため、頭の回転もスピードダウンしてしまうのです。

では、こうした細胞膜の柔軟性は何によって決まるのでしょうか? それは、食事で摂取した脂の“質”。脂質は、その種類によって構造の柔軟性に差があるのです。

細胞膜をやわらかくする脂質は、「不飽和脂肪酸」と呼ばれる種類であることが分かっています。不飽和脂肪酸には「オメガ6系脂肪酸」、「オメガ9系脂肪酸」などがありますが、なかでも最もやわらかい構造を持つのが、DHAなどの「オメガ3系脂肪酸」。

最もやわらかいオメガ3系脂肪酸がたくさん含まれていればいるほど、その細胞膜はやわらかくなるというわけです。“やわらかい脂”をとれば、やわらかな脳ができる。実に、分かりやすい法則ですね。

「賢い脳」をつくる、やわらかい脂である「不飽和脂肪酸」はどんな食べ物からとれるのかというと、次の通りです。