「不満があるなら、満足できるものを自分でつくる」

これも、デンマークで学んだことでもありました。「不満があるのなら、満足できるものを自分でつくれ」というのがデンマークの文化なのです。

「実際、デンマークにいるときに、通っていた学校が自分の子に合わないとおもったら、自分で学校をつくってしまう事例を目撃したことがあります。日本なら文科省への不満を口にするだけで終わってしまいがちです。しかしデンマークでは、不満があるなら自分でつくってしまうのです」

そのデンマークで学んだことを、炭谷さんは日本で実践に移していきます。ただデンマークと日本での大きな違いは、デンマークでは自分で学校をつくると公的な支援が受けられますが、日本は一条校でなければ公的な支援は受けられないことです。一条校になるには、かなり高いハードルがあります。つまり、一条校至上主義のなかで、一条校の学校が教育を独占している状況なのです。その一条校に合わなくて学校に行かなければ「不登校」というレッテルを貼って、病気あつかいされてしまいます。一条校に合わないのは個性のはずですが、そういう個性は大事にしてもらえない。

炭谷さんはデンマーク流に「不満があるなら自分でつくれ」を実践しようとしたわけですが、公的なものをふくめて何の支援もないなかで、独力で学校づくりをはじめることになります。

机の上のノートと鉛筆
写真=iStock.com/hatman12
※写真はイメージです

「自宅の2階」からのスタート

最初につくったのが、1996年4月に開校した「出る杭も伸ばす教育・ラーンネット・ロゴパソコンランド六甲教室」でした。資金的にも余裕のないなかでの開校だったので、教室は炭谷さんの自宅の2階で、生徒の募集も口コミやチラシ、インターネットのホームページで行います。そして12名が入ってきますが、まだ学校というレベルではなく、子どもたちが学校が終わったあとに通ってくるアフタースクール、学習塾のような形態でした。

ここでは、「レゴブロック」と「ロゴ」を使って子どもたちの創造力を育てる教育が展開されていきます。レゴブロックはデンマークの玩具会社レゴが開発した、組み合わせていろいろなものをつくれるプラスチック製のブロックで、子どもたちの創造性を培うことができ、日本でもかなり人気があります。そしてロゴは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のパパート教授による子ども向けのパソコン・プログラミング言語で、世界的に高い評価を受けています。