なぜ「幸福度」が低いのか

国際連合の接続可能な開発ソリューションネットワークが毎年発表している「世界幸福度ランキング」で、2024年にデンマークは1位のフィンランドに僅差の第2位でした。このランキングでデンマークは常に上位にあります。

ちなみに日本は、2024年には143カ国中の第51位。前年の第47位から順位を下げ、G7諸国(主要7カ国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、アメリカ)のなかでは最下位です。円安傾向で状況は少し変わりつつありますが、戦後の高度経済成長を経て日本は世界でも有数の経済大国との評価を受けてきました。しかし、幸福度は第51位でしかないのです。

「他人と比べない」デンマークと「他人と比べる」日本の違いといっていいのかもしれません。日本の小学校や中学校ではペーパーテストが日常化していて、その点数が大きな評価軸になっています。ペーパーテストで点数をとることが「学力」とおもわれてもいます。しかしデンマークの小学校や中学校では、ペーパーテストをしてはいけないことになっているそうです。

デンマークの国旗
写真=iStock.com/A-Basler
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「子どもを入れたい学校がない」

そういうデンマークで2年間を過ごして帰国した炭谷さんが再会した日本は、「違和感だらけ」だったそうです。なかでも大きな違和感がわが子の幼稚園選びで、近所の幼稚園を見学に行って教室に入ったとたん、炭谷さんの目は点になってしまったそうです。壁に30人くらいの園児の絵が貼りだしてあったそうですが、どれも同じ構図で同じ色使いで描かれていたからです。子どもたちに見えているものは一人ひとり違うはずなので、描く絵も違ってくるはずなのに、みんなが同じ絵を描いている。そこに炭谷さんは日本の教育の姿を感じたようです。

「体験入園して帰ってきた娘は、『自分のやりたいことをまったくやらせてくれない』と怒っていました」

それから、いくつかの幼稚園を見学したものの、どこも同じようなものでしかありません。仕方なく炭谷さんは、わが子の個性を比較的尊重してくれるインターナショナル・スクールに入れます。

「私は日本が好きなんです。その大好きな日本に自分の子どもを入れたい学校がない。かなり悔しい思いをしました」

そこで終わったわけではありません。炭谷さんは、「こうなったら、自分で学校をつくるしかない……」とおもいはじめるのです。