「ときを映し、こころと生きる」をミッションとして掲げ、「世界を代表するフォトライフ・カンパニー」をコーポレートビジョンとするキタムラ・ホールディングス。グループの「カメラのキタムラ」では、大切な瞬間や思い出、感動などを「写真として残して受け継ぐ」ことの価値を伝え続けてきた。顧客ニーズが変化し、企業のサステナブルな取り組みが求められる中、「カメラ&リユース」「フォトライフサービス」を中心に、着々と独自の活動の幅を広げている。

「モノを大切にする」意識の高まりに応えるリユース事業

――近年の取り組みについて教えてください。

佐藤 卓さん 株式会社カメラのキタムラ 店舗事業部 販売サポート部 広報 PCCグループ
佐藤 卓さん
株式会社カメラのキタムラ
店舗事業部 販売サポート部
広報 PCCグループ

【佐藤】当社では近年、リユース事業に力を入れています。その買い取り品目はカメラやレンズだけにとどまらず、ニーズの高まりに応え、腕時計やブランド品・貴金属・スマートフォンなどにも拡大。カメラ以外の買い取りはまずは店舗を限定してのスタートでしたが、現在では「カメラのキタムラ」約600店舗のうち、半数以上で展開しています。需要が伸びている背景としては、物価高の影響のほか、「モノを大事にしたい」という意識の高まりなどもあるでしょう。その人がイメージする写真をちゃんと撮れる機能が備わっていれば、少々前に発売されたモデルでも十分。しかも安価に手に入れることができます。あるいは、中古品は状態もさまざまでそれぞれに味わいがありますし、レアなモデルなどが見つかることもあります。こだわりを持っている方には、「探して選ぶ」楽しみがあるのではないでしょうか。

カメラのキタムラでは全店舗の照明器具のLED化が完了しており、使用済みフィルムケース、電池、インクカートリッジの回収、ミニラボに使用した廃液の安全な処理など、省エネ、CO2削減に向けた活動を続けています。また、カメラやレンズの修理・メンテナンスも行い、カメラを長く使っていただくお手伝いをしています。コロナ禍で大量に用いられたアクリル板をフォトフレームとして再利用したり、写真を工場から店舗へ運ぶ際に使用するパッケージにエコな素材を取り入れたりしているほか、子供の持ち物に貼るためのお名前シール「ぺたねーむ」の廃棄予定となった用紙を再活用するなど、皆さんの生活に役立ち、かつ環境保全にもつながるような活動も積み重ねているところです。あと、従業員一人一人の個性や価値観を尊重し、身だしなみの基準を見直して多様化を推し進めている点も、持続可能性の取り組みの一環と位置付けています。今後、少子高齢化がさらに進んで人材の確保が深刻化していく中で、職場環境の充実には大きな意味があると思います。

中古カメラは国内外の人気ブランドが幅広くそろう。
中古カメラは国内外の人気ブランドが幅広くそろう。
創業90周年を記念して開催されたカメラのキタムラ フォトコンテスト。(募集は終了)
創業90周年を記念して開催されたカメラのキタムラ フォトコンテスト。(募集は終了)

カメラのキタムラらしいアクションとしては、「美しい自然の写真コンテスト」の開催や、各地での撮影会の実施などが特徴でしょう。屋外での撮影であれば、やはり春の桜、秋の紅葉が人気ですね。ただ、特に近年は、夏の異常な暑さであったり、季節の「ズレ」であったり、以前との違いを肌で強く感じるようになってきました。例年ならこの時期に咲くだろうと予想して写真教室の開催日を設定したものの、開花がズレて延期になってしまったこともありました。このような撮影機会が、自然環境の変化を知る一つのきっかけにもなっている気がします。

みずみずしい感性から生まれた作品を楽しむことができた

――「環境フォト・コンテスト2025」を振り返って、いかがでしたか。

【佐藤】例年にも増して、応募作品は粒ぞろいでした。コロナ禍が明けてからは皆さんの活動範囲が広がり、アプローチのバリエーションが増えたことも理由でしょう。ベテランの皆さんによるキャリアを重ねたからこその作品にも引き付けられつつ、若い方からの応募も増えたことで、新鮮な視点や構図も楽しむことができました。

優秀賞の「消えゆく景色」は、まさに20代らしいアイデアが反映された作品ですね。きらめく夜景と雪山の美しさのすぐ背後には、地球温暖化や環境破壊の恐ろしさが迫ってきているようで、作者が表現したかった意図がひしひしと伝わってくる写真です。何時間もかけて雪山に登り、カメラを設定してライトを持ち、インターバル撮影で自撮りをしたとお聞きしました。このようなエピソードについて会話を交わせる「環境フォト・コンテスト」最終審査会・表彰式への参加は、とても楽しい時間です。

入賞作品の選定に当たっては、写真からどれだけ作者の思いが伝わってくるか、メッセージ性の強さを重視しています。ですから何かに偏ることなく、風景や鳥、夜景、あるいは生活の中の一コマなど、毎年、ジャンルを問わずいろいろな被写体の作品が入賞しているのです。もちろん、必ずしも雄大な自然や、きらびやかなスポットだからいい写真になるとは限りません。身近な場所にも撮影対象になりそうなものがたくさんあると思いますので、ぜひ自分なりの「環境を感じる発見」に出合ってほしいと思います。

地球環境保全は、言うまでもなく写真プリントサービスやカメラ機材の販売などを扱う当社の事業とも深く関わっています。なぜなら心を動かされるような美しい風景やワンシーンが地球上に存在するからこそ、「写真を撮りたい」「ずっと残したい」という気持ちも生まれるからです。当社からは、「ぜひこれからも、楽しみながら美しい被写体を撮影しましょう」と皆さんに呼びかけていきたいと思います。

●「環境フォト・コンテスト2025」入賞作品

●募集テーマ:写真の力~レンズがとらえた瞬間~

2025優秀賞「消えゆく景色」
2025優秀賞「消えゆく景色」奥田祥吾さん
2025佳作(1)「ダイヤモンド富士」
2025佳作「ダイヤモンド富士」山本峯子さん
2025佳作(2)「星降る富士山に現れた吊るし雲」
2025佳作「星降る富士山に現れた吊るし雲」志田吉久さん