KCCSらしい強みを発揮し
「変革と挑戦」を実行する

――2012年3月期の連結売上高が1,000億円を超えました。激しい競争下で成果を獲得するKCCSの強みは何でしょうか?

佐々木 グループで3つの事業ドメインをもち、垂直統合サービスを展開できることは大きな強みだと思っています。システムの企画・設計、構築、運用はもちろん、データセンターなどを基盤にBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)にも応えます。通信基地局の設置も行っていますし、さらに経営コンサルティングまでカバーするICT系の企業グループは、私たちが唯一だと思います。

一方、エンジニアたちが技術面に優れているばかりでなく、エンジニアリング事業のメンバーなら社会の通信インフラ整備に強い使命感を抱いています。ICT事業のメンバーならコストパフォーマンスや経営に役立つ仕組みづくりをよく考えています。こうした面も、当社グループへの評価につながっているでしょう。

彼らの意識や姿勢は、京セラグループ全体の経営哲学である「京セラフィロソフィ」を共有することで育つのだと思います。また京セラグループ各社の現場は、「時間当たり付加価値」をKPIとする「アメーバ経営」のもとで動いており、その環境が彼らのビジネス感覚を磨くのでしょう。

――今後のビジョンとご自身の抱負を聞かせてください。

佐々木 「変革と挑戦」を実行し、売上高でも次のステージを狙います。そのためには、3つの事業ドメインに京セラ、KDDIが加わってのシナジーを、いっそう拡大したいと考えています。例えば経営管理の分野以外にも、「自治体向け防災情報ネットワークソリューション」では、広帯域無線アクセスシステムのインフラから家々のIP情報端末まで、また社会の期待を集めるメガソーラーでは、太陽電池を設置するエンジニアリングから制御システムのICTまで、トータルにグループのリソースを提供していきます。

私自身は本年4月に社長に就任したばかりで、いまは「組織はリーダーの器で決まる」という言葉の重さをかみしめているところです。しかし、必ずやKCCSグループは全社員の夢と将来を約束できる企業集団であり続け、結果として高成長、高収益を目指します。その努力の過程は、ユーザーの皆様の利益にもつながっていくに違いないと考えます。

じつは私が31年前に京セラに入社した当時、同社は社員3,450名、売上高1,000億円で、奇しくも現在のKCCSグループと同じ規模だったのです。それからの歩みを知る私としましては、次の30年で当社グループもきっと同じだけ成長できるよう、意義ある一歩を記したい。今年、社長に就いた巡りあわせは、自分にとって幸運なことだと思っています。