コロナ禍は、日本人の働き方・暮らし方に大きな影響を与えた。かつての日常が戻りつつある今も、完全に元の状態に戻ることはないだろう。
内閣府が2023年3月に実施したインターネット調査(※)では、テレワークの実施率は全国で30.0%。2019年12月の調査の10.3%に比べて高い水準だった。特に東京23区では、半数以上がテレワークを行っている。ビジネスにおいてリアルなコミュニケーションが重要であることは論をまたないが、他方で、場所を選ばない自由な働き方を可能にし、時間・経済両面でメリットが大きいテレワークも捨てがたい。今後は、出社とテレワークの併用が主流になるのではないだろうか。
※第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査、調査期間は2023年3月2日~3月11日。
自宅のワークスペースに求められる機能はさまざま
家で過ごす時間が増えれば、住まいに求めるものも増えていく。テレワーク環境1つとっても「仕事に集中できる静けさや適度な明るさ」「家族に気兼ねしなくて済むプライバシーの確保」「リモート会議に適した通信環境」など、さまざまな要素が考えられる。
また、仕事の内容や家族との関係、望ましい働き方による違いもあるだろう。長時間一人で集中したいなら完全個室のワークスペースが必要だろうし、家事や育児と並行するならセミオープンのカウンターが適しているかもしれない。仕事に必要な書類や文具の収納、機器類の配置や配線など、細かい要素を挙げれば切りがない。
自宅で仕事をするならば、なおさらくつろぎタイムも重視したい。住まいの中でオンとオフを切り替えられるようにしたいものだ。リビングはなるべくゆったりと開放的に。ワークスペースとは天井高や照明を変えて対比させるとめりはりが生まれる。青空や緑を眺められる開口部があれば、疲れた目を休め、気分をリフレッシュさせることができるだろう。
住まいのプロならではの工夫やアイデアにも期待
これから家を建てるなら、スペシャルな余暇空間を考えてみるのもいい。例えば、植物を育てたり、アウトドアで食事したりできるデッキやバルコニー。家にいながらにして日常を忘れるシアタールーム。趣味のものづくりに没頭できるホビールーム。自分の作品や愛読書をディスプレーするコーナーをつくったり、カーポートを少し広げて車やバイクの手入れを楽しむスペースをつくったり。
自分にとっての理想の家がイメージできたら、ハウスメーカーに相談することをお勧めしたい。きっと、自分や家族だけでは思いつかないアイデアや、その実現方法を提案してもらえるはずだ。