リーダーシップに関する書籍が売れており、「リーダーの役割とは何か」が、いま一度問われています。数字を上げればよいのか、部下に信頼される存在でなくてはならないのか。また、どんなマネジメントが現代的なのか。「謙虚」と「傲慢」という対極的リーダーが、部下にどう思われているのかを調べました。
プレジデント編集部では、2022年5月、PRESIDENT Online会員に対してアンケートを実施。2582名から回答を得ました。ビジネスリーダー1439名(経営者・役員551名、管理職888名)、一般社員782名に該当する2221名を集計しました。今回の調査テーマは読者の関心が高く、過去の調査の倍以上の数の回答が集まりました。
「上司(かつての上司)に『傲慢さ』を感じたことがありますか?」という質問では、ビジネスリーダーが84.1%、一般社員が82.6%とどちらも高い割合で「『傲慢さ』を感じたことがある」と回答しています。長い社会人歴の中で、8割以上の人が上司の態度や指示に対し、多少の「傲慢さ」を感じた経験があるようです。
具体的にどんな場面や言葉から「傲慢さ」を感じたのか、フリーアンサーで寄せられた声を抜粋します。
あなたが目撃した「傲慢さ」とは?(一部抜粋)
●感覚的で感情的。
●自分に非があると、微塵も思っていない。
●人望がある、と勘違いしている。 ……など
「その傲慢な上司は、仕事ができましたか?」という質問に、「仕事ができる人だった」と回答したのはビジネスリーダーで55.5%、一般社員で50.2%でした。傲慢な上司だから仕事ができる/できないという判断はできませんが、回答者の半分弱は「仕事ができない人だった」とネガティブな回答していることから、リーダーの傲慢さは、周囲から「あの人は仕事ができない」と見られてしまうひとつの原因となるのかもしれません。
続いて「あなたは、リーダーに『傲慢さ』が必要だと思いますか?」という質問で、「『傲慢さ』は必要ない」と回答した人が、ビジネスリーダーで56.3%、一般社員で60.7%と、どちらも過半数という結果となりました。対して、「『傲慢さ』が多少は必要」と回答した人はビジネスリーダーで41.6%、一般社員で38.1%いましたが、「必要」の回答は少なく、あくまで“多少”であり、「傲慢さ」は時と場合や、使い所をわきまえるのが大前提のようです。
一方で、「上司(かつての上司)に『謙虚さ』を感じたことがありますか?」という質問には、ビジネスリーダーの71.2%、一般社員の64.2%「『謙虚さ』を感じたことがある」と回答しています。部下は、上司の「傲慢な」面も厳しく見ていますが、「謙虚な」面に関してもしっかり見ていることがわかります。
あなたが出会った「謙虚さ」とは?(一部抜粋)
●「もし間違えていたら言ってくれよ」と前置きがある。
●部下への厳しさはあるが、それ以上に自分に厳しい。
●自分の非を素直に認める。 ……など
「その謙虚な上司は、仕事ができましたか?」という質問では、「仕事ができる人だった」と答えた人がビジネスリーダーが96.6%、一般社員が93.8%でどちらも圧倒的な割合を占めています。
Q3の「その傲慢な上司は仕事ができましたか?」という質問に対しては、「仕事ができる人だった」と回答した人は約50〜55%という割合だったため、謙虚な上司のほうが、周囲から「仕事ができる人だ」と見られると言えそうです。
「あなたは、リーダーに『謙虚さ』が必要だと思いますか?」という質問には、ビジネスリーダーが85.2%、一般社員が77.5%でどちらも「『謙虚さ』が必要」と回答した人が圧倒的に多くなる結果でした。
今回のアンケート結果からも、「感覚的で感情的、傲慢なリーダー」よりも、「部下と常に対等な目線を持つ、謙虚なリーダー」のほうが、周囲に高く評価されているというのは明らかでした。
「謙虚さ」は、この時代のリーダーに求められる必須の要素と言えるのではないでしょうか。
*四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
*調査&集計方法:2022年5月、PRESIDENT Online会員2582名から回答を得た。ビジネスリーダー1439名(経営者・役員551名、管理職888名)、一般社員782名に該当する2221名分を集計。
*構成:PRESIDENT編集部
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