ミッション、ビジョン、バリューを超える概念として、2021年に一気に広まった「パーパス」。たとえば、ソニーは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」という信念を掲げています。企業の存在意義である「パーパス」は、どの程度浸透しているのか、聞きました。
プレジデント編集部では、2022年5月にPRESIDENT Online会員に対してアンケートを実施。1298名から回答を得ました。そのうち、「経営者・役員」「管理職」「一般社員」に該当する1153名分を集計しました。
また、1000人以上を大企業、100~999人を中企業、99人以下を小企業として色分けしています。回答者の属性と所属企業の規模に関しては以下のグラフをご参照ください。
「あなたの会社には、『パーパス』が制定されていますか?」という質問には、経営者・役員が32.2%、管理職が33.3%で、「制定されている」と回答した人が3割を超えています。また、企業規模でみてみると大企業で「制定されている」と回答した人は46.2%でした。大企業は約半数が「パーパス」を制定しており、大企業においては「パーパス」策定の必要性が理解し始められていることがわかります。
Q1で「『パーパス』が制定されている」と回答した方へ、「あなたの会社の『パーパス』を言えますか?」という質問をしました。経営者・役員は94.1%が「『パーパス』を言える」と回答しています。管理職は70.2%、一般社員は58.8%と経営者・役員ほどではないものの「パーパス」を制定している多くの企業で自社の「パーパス」はよく浸透していることがわかります。また、企業規模別にみると、どの規模の企業も7割以上が「『パーパス』を言える」と回答しており、「パーパス」を制定している企業では、ただ制定するだけではなく、会社全体で「パーパス」を浸透させる努力をしていると考えられます。
同じくQ1で「『パーパス』が制定されている」と回答した方へ「あなたの会社の『パーパス』を日々の仕事で意識したことがありますか?」という質問をしました。役職別にみると、経営者・役員、管理職、一般社員ともに「『パーパス』を意識したことがある」と回答した人が高い割合を占めています。特に経営者・役員は98%が「『パーパス』を意識したことがある」と回答しています。また、企業規模の大きさでみても、大企業から小企業まで9割前後の人が日々の仕事で「パーパス」を意識して行動していることがうかがえます。
一方で、Q1で「『パーパス』が制定されていない」と回答した人へ『パーパス』と『ビジョンやバリュー』の違いがわかりますか?」という質問をしました。「パーパス」が制定されていない企業では、「違いがわかる」と回答した人が、経営者・役員は25.4%、管理職が24.8%、一般社員が8.7%という結果でした。やはり、「パーパス」が制定されていない企業では、制定されている企業に比べると「パーパス」と「ビジョンやバリュー」の違いがわかる割合が少ないという結果となりました。しかしながら、経営者・役員、管理職においては「違いがわかる」「ぼんやりならわかる」という回答が半数を超えることから、まだ「パーパス」が制定されていない企業においても、ビジネスリーダー層は「パーパス」などの必要性を意識し始めているのかもしれません。
Q4で「違いがわかる」「ぼんやりならわかる」と答えた方へ、さらに「『パーパス』が会社にあったほうがいいと思いますか?」という質問をしました。役職別では、経営者・役員が71.3%、管理職は69.6%、一般社員は58.7%がどの役職でも「『パーパス』があったほうがいい」という回答が多い結果となりました。また、企業規模別にみても、大企業・中企業・小企業ともに半数以上が「『パーパス』があったほうがいい」と回答しています。
これらの結果から、「パーパス」の存在意義はビジネスパーソンの中でも浸透しつつあり、その制定に対しては前向きに考えている人が多いと考えられます。今後、「パーパス」を制定する企業はますます増えていくかもしれません。
*四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
*調査&集計方法:2022年5月、PRESIDENT Online会員1298名から回答を得た。「経営者・役員」「管理職」と、「一般社員」に該当する1153名分を集計。
*構成:PRESIDENT編集部
『PRESIDENT』では、今後もこのような読者への独自調査を続け、ビジネスパーソンの本音をひもとく取り組みを続けてまいります。
企業さまと協働しての調査やレポート作成、調査結果を基にしたコンサルティングも可能です。まずは、お問い合わせからお気軽にご相談ください。