父の再婚「いつ会える?」に返信なく

再婚などをきっかけに、離れて暮らす親と会えなくなる子どももいる。

同じ訴訟の原告の1人となったK君は、スポーツの好きな中学生。離れて暮らす父とは2年近くの間、ほとんど会えていない。

性格の不一致や親族との不和が原因で、両親は幼少時に離婚し、母と暮らすことになった。父とは月に1回程度会い、最寄り駅で待ち合わせ、K君のお気に入りのレストランに行ったり、公園で遊んだり。いつも優しい父との時間は楽しみだった。運動会などの行事も毎年参観してくれていた。

ところが小学5年生を過ぎたころから、会う頻度が極端に減っていった。「次はいつ会える?」と聞いても、はっきりとした答えが返ってこなくなった。メールや電話をしても、1カ月以上返信がなく、面会を断られることも続いた。

父は再婚して子どもが生まれ、K君の養育費の減額調停を申し立てていた。

母が面会交流の調停を裁判所に申し立て、一旦は交流が再開。「8年ぶりに父方の祖父母とも会えてとてもうれしかった」とK君は頬を緩める。しかし新型コロナの感染拡大後、「コロナが心配だから」「体調が悪い」「仕事が忙しい」などと言って、父は再び会おうとしなくなった。

「仕方がない、と思う一方で、寂しかった。もっと会いたいと父に言うと面会が減るかもしれないと思い、気持ちを伝えることができなくなりました」。K君はつぶやく。

「どうしたら会えるようになるのでしょうか」

調停では、家庭裁判所調査官に「父に会いたい」と何度も伝えた。だが、報告書には「父が消極的なので現状を変える必要はない」と記された。月1回の取り決めを履行するよう勧告は出されたものの、2年前のクリスマスに一緒にプレゼントを買いに行って以降会えない日々が続く。

「裁判所にも行ったのに、結局何も変わらない。会えるように曜日や日にちを決めてほしかったし、電話にも出てくれることを父に約束してほしかった。どうしてこういうことが続いているのか、不思議で仕方ありません」

どうしたら父に会えるようになるのか。不安でいっぱいになる。少しでも状況を変えたいと、K君は訴訟に参加することを決めた。

K君の場合も、裁判所での合意や履行勧告があるのにもかかわらず、父に会えない状況が続く。事態を変える有効な手立てがほぼないのが現状だ。