自然災害の頻発・甚大化に加え、われわれが直面するリスクがより多様化している。変化し複雑化するリスク環境において「AIGのミッションは必要とされるときに個人や企業、社会を支え、信頼できるパートナーとして、激動する時代に安心をお届けすることです。“お客さまと交わした約束を果たす”、それが私たちの最大の使命」とジェームス・ナッシュ氏は力を込める。

AIGジャパン・ホールディングス株式会社
世界約70の国・地域で損害保険をはじめ幅広い金融サービスを展開するAIGグループの日本における持株会社。AIG損害保険、アメリカンホーム医療・損害保険などの国内グループ各社を統括する。

AIG損害保険株式会社
1946年、AIU損害保険(旧AIUコーポレーション日本支店)として事業を開始。2018年、富士火災海上保険と合併し、AIG損害保険に。AIGグループの一員として個人、法人向けの多様な損害保険商品・サービスを扱う。

ジェームス・ナッシュ
英国ラドリーカレッジ卒業。PKF社を経て、1985年、保険会社ガイ・カーペンターに入社し、日本法人社長やアジア太平洋CEOを歴任。2021年1月よりAIGジャパン・ホールディングス代表取締役社長兼CEO。同年12月よりAIG損害保険代表取締役社長兼CEOを兼務。

AIGは、1世紀以上にわたるグローバルな事業展開で積み重ねた知識とノウハウ、日本市場への深い造詣を掛け合わせ、損害調査や保険金支払いなどの事故対応の分野において、顧客のニーズに寄り添った「業界初」を次々と打ち出してきました。その先進的なチャレンジが厳しい環境に置かれた企業や人々の背中を押し、再び立ち上がるための支えとなった例は、枚挙にいとまがありません。

世界有数の保険会社であるAIGは、ビジネスを展開する約70の国や地域で蓄積された経験、ノウハウをグローバルで共有し、世界中どこでも同レベルの高品質な事故対応サービスを提供してきました。グローバルな知見と、国ごとに異なる文化や商習慣への深い理解を基に、適切かつ迅速な保険金のお支払いを実現しています。

AIGの特徴は、複雑化するリスク環境の変化を敏感に読み取り、グローバルリーダーとして革新的な商品を生み出してきたことにあります。その結果、お客さまにとって最も必要なサービスを最も迅速に提供することができます。例えば、近年、訴訟が増加している役員賠償責任に関する保険、重要度が一層高まっているサイバー保険、M&Aに関わる保険、製造物賠償責任に関連する保険は欧米が先行している分野ですが、AIGはこれらの分野に精通した保険金支払いの専任チームを有しています。国をまたいで発生した事故の際は、現地の担当者と、日本のお客さまの心情をしっかりと理解する国内の担当者が協力して対応に当たります。企業関連の保険金支払いが複雑化する中、それぞれの立場・状況を踏まえ、納得できる解決策を提案できるのが、当社の大きな強みです。

保険金詐欺などが疑われるケースへの対応も重要です。米国では契約者の皆さまを不正からお守りすべく高度に組織化された専門チームが活動しており、日本でも10年ほど前に導入しました。こうした取り組みができるのもグローバルでの豊富な知見と経験があるからこそであり、世界的なネットワークが高品質な事故対応サービスをつくり上げているのです。

必要な人や企業へ迅速に支援を。「災害大国」で培った対応力

保険金の適切なお支払いは、お客さまと交わした大切なお約束なので確実に実行する必要があります。日本は災害大国とも呼ばれ、地震、台風、水害、大雪など、さまざまな自然災害が発生しています。しかもその頻度は増加傾向にあり、被害も激甚化しています。こうした有事に、いかに適切かつ迅速な支援を提供できるか。そこが重要と捉えています。

お客さまの事業や生活を少しでも早く立て直せるよう、スピーディーに被害状況を確認し、可能な限り早期にお支払いをする。そのために、当社は数々の「日本の保険業界初」のサービスを打ち出してきました。「保険金の見込み額の一部を最短で翌日にお支払いする」方針は、グローバルで蓄積された経験とデータが可能にした革新的な取り組みです。また、預金口座がなくてもコンビニエンスストアのATMを通じて当座の生活費用を受け取れる仕組みや、災害時の損害調査の立ち会いをオンラインで予約するシステムなど、事故や災害で混乱した状況のお客さまにとって利便性の高い取り組みも業界に先駆けて導入しています。

損害調査では、ドローンやビデオ通話、データマッピングの活用など、テクノロジーも積極的に導入し、足場の悪い環境下でも効率的かつ的確な被害の把握に役立っています。日本のこうした災害対応の知見は世界のAIGで役立てられており、誇らしく感じている点です。

高まる進化へのモチベーション。企業や人の思いに寄り添う

災害や事故が発生すると、直ちに損害サービス部門の担当者が地域に根付いたプロフェッショナルな代理店と直接やり取りを開始します。営業部門の代理店担当者に情報を共有しながら、状況をよく理解する代理店と緊密に連携し、より素早く、正確なお支払いを実現する仕組みです。「1週間を待たずして被害調査が実施され、保険金で損害を補塡ほてんしながら事業再建を進めることができた。事業や社員を守るためにも、保険によるリスク対策はBCPに不可欠であることがよく分かった」。東日本大震災で被災されたある水産加工会社さまから、こう仰っていただきました。災害や事故への対応を通じた、こうしたフィードバックは、保険会社の役割やサービス、仕事のやりがいを問い直す機会として重要なアドバイスです。

毎年実施している代理店への満足度調査でも当社の事故対応力は高く評価されています。厳しいご意見を頂戴することもありますが、それが新商品やサービスの開発につながり、人材教育へのモチベーションに変わります。企業を取り巻くリスク、特に気候変動は今後も深刻な影響を及ぼすでしょう。テクノロジー、またお客さまの声を生かしながら、当社の事故対応サービスは進化し続けていきます。

【連載】リーダーの眼 ジェームス・ナッシュ