世界の幸福度ランキングで56位となった日本。その理由について経済評論家の加谷珪一さんは「日本は人生における選択肢の幅が狭く、あてがわれたレールに乗らないと、厳しい人生を余儀なくされるからです」という――。

※本稿は、加谷珪一『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

ビジネスマンたちのシルエット
写真=iStock.com/metamorworks
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インターネットの普及で日本人の特殊性が明らかに

自分が住む国が、諸外国と比較してどのような特徴を持っているのかについて知ることは、実は容易なことではありません。

何となく、という感覚レベルの話であればイメージすることはできますが、あくまで勝手に想像したイメージに過ぎません。それならば、外国人に直接、尋ねればよいと思った方もいることでしょう。確かにこの方法は日本人の実像を知る有力な手段であり、実際、テレビ番組などには、いわゆる外国人タレント枠というものが存在しており、外から見た日本について語ることは、ひとつのキャラクターとして確立しています。

しかしながら、これもあくまで個人の印象ですから、コンテンツとして面白いかどうかは別にして、客観性のある答えが得られるとは限りません。

日本人の特徴について客観的に知るためには、同じ設問を複数の国民に対して投げかけ、その結果を取りまとめるという、いわゆる国際比較調査が必要となります。ところが国をまたいだ調査というのはかなりの手間とコストがかかるため、そう簡単に実施できるものではありませんでした。

こうした状況を大きく変えるきっかけとなったのがインターネットの普及です。

ネットの普及は、アンケート調査に革命をもたらしたとも言われていますが、国際比較調査にもまったく同じことが言えます。効率的に複数の国でアンケートを実施し、低コストでデータを取りまとめることが可能となったのです。

やはり日本の「常識」は「非常識」だった

その結果、諸外国との比較が簡単にできるようになったわけですが、各種調査を通じてあらためて分かったことは、「日本の常識は世界の非常識」という現実でした。多くの国際比較調査において、日本人だけが突出して違う結果を示すケースが相次いでいるのです。

筆者は日本人の思考や行動様式が諸外国と比較して著しく異なっているとは思いませんが、相応の隔たりがあるのは間違いないと考えています。そして、こうした日本人的な思考や行動様式が日本経済の低迷と密接に関係しているとにらんでいます。