プリン体ゼロ、糖質ゼロの“ゼロゼロ”のビール系飲料は、健康志向の高まりを受けて年々人気が高まるジャンル。数ある商品の中で消費者の人気を着実に獲得し、6年連続で最高売上を更新しているのがキリンビールの「淡麗プラチナダブル」だ。2020年にリニューアルし、おいしさにさらに磨きがかかったという。好調の理由、そしておいしさの秘密を聞く。

ビールに近いうまさに納得のファン増加中! 驚異の6年連続売上更新

ビール系飲料の市場はこの15年ほど前年割れが続き、縮小傾向にある。2021年上半期(1~6月)の国内販売実績も前年同期比6%減と厳しい局面が続くが、そのような逆境の中で好調を維持し続けているブランドがある。キリンビールの発泡酒「淡麗プラチナダブル」がそれだ。

淡麗プラチナダブルは「プリン体0(※1)×糖質0(※2)」で爽快なキレと飲みごたえのある本格的な味わいの発泡酒。2014年の発売以降、6年連続で売り上げを更新し、2021年(1~10月累計)の売り上げは前年同期比118%と絶好調だ。縮小している市場でこの伸びは、淡麗プラチナダブルのおいしさがファンを着実に増やしている証拠だろう。

※1 100ml当たりプリン体0.5mg未満のものをプリン体0と表示
※2 食品表示基準による

昨年、中味のリニューアルを行い生まれ変わった「淡麗プラチナダブル」

この好調の一因となっているのが、2020年に行った中味のリニューアルである。リニューアル後の味わいについてキリンビールが行った調査によると、80%(※3)の人が「おいしい」と答えたという。具体的には、「爽やかでキレがあって、飽きのこない味です」(50代男性)、「ビールに近い味で、プリン体ゼロ、糖質ゼロなのが魅力的」(40代女性)などという声が届いている。健康を志向しながらおいしさも求める消費者に確実に支持されている。

※3 キリンビール調べ(n=1583)、5段階評価で一番高く評価した人の割合

ゼロゼロとおいしさを高水準で両立した自信作

では、淡麗プラチナダブルの好調の理由、そして2020年のリニューアルで「おいしい」という評価が多かった理由はなにか。キリンビールで中味の設計を担当する大澤慶さんに、淡麗プラチナダブルのおいしさの秘密について聞いた。

「淡麗プラチナダブルが多くのお客様から好評をいただいているようで、とてもうれしいです。淡麗プラチナダブルのコンセプトは、“「プリン体0×糖質0」と本格的なうまさを両立した発泡酒”です。2014年の発売当時、糖質やプリン体のオフまたはゼロなどを訴求する商品は世の中にいろいろありましたけれど、おいしさも満足できるものを目指そうと。当時から一貫して、ゼロゼロでありながら淡麗ブランドらしい爽快なキレと飲みごたえがある、より満足感の高いもの目指しています」

キリンビール、商品開発研究所で中味の開発を担当する大澤慶さん

「おいしさをさらに追求するため、2020年のリニューアルでは大きく二つの改良を加えました。一つ目は原材料の配合を一から見直しました。二つ目はキリン独自の新しい発酵技術を採用したことです。通常のビールづくりでは製造工程で酵母からプリン体が生成されるのですが、2020年のリニューアルではR&D部門で開発したキリン独自の発酵制御技術を採用し、これにより原料・発酵由来のおいしさを従来よりアップさせながらプリン体ゼロ、糖質ゼロを実現することができました」

2020年のリニューアルではキリン独自の発酵制御技術(特許出願中)を採用

淡麗プラチナダブルの特長であるキレや飲みごたえとプリン体ゼロ、糖質ゼロを両立させながら、よりビールに近いおいしさを目指して原料の配合、発酵の時間や温度などの条件を一つ一つ検証し、何十、何百という試行錯誤を繰り返したという。自分たちが目指す味わいがニーズに合っているのか、独りよがりになっていないかを確かめるために、開発の途中で一般消費者への調査を行い軌道修正もした。そうして完成したのが現在の淡麗プラチナダブルである。もちろん大澤さんの一番の自信作だ。

「これからもおいしいゼロゼロのビール系飲料を届けたい」と話す大澤さん。おいしさの追求は今後も続く

「工場、物流、営業、調達など全社一丸になって、お客様においしいものを届けるという目標に向かえたことが大きかったと思いますし、皆の思いが次のチャレンジへの原動力になりました。リニューアル後、飲みごたえがしっかり感じられるようになった、キレや満足感がより感じられるようになったという声をいただいていますが、中味開発者としては本望でうれしいですね」

縮小を続けるビール系飲料の市場にあって好調を維持している商品があるということは、本当においしいものへと消費者が集中しつつあることの証左だろう。そしてそうした商品には往々にして、絶えずおいしさを追求するものづくりの姿勢がある。淡麗プラチナダブルはまさにその好例と言っていい。開発者たちの最新・最高の自信作と聞けば、思わずのどが鳴る。

(構成・文:デュウ 撮影:栗原雄輝)