椅子に座る男性
「環境問題は人類共通の課題」という世界的な潮流が生まれた1970年代より、独自の取り組みを展開してきた日本生命。持続可能な地球環境の実現に歩を進める同社のCSR推進部・岩本昌弘さんに、「環境フォト・コンテスト」への期待を聞いた。

優秀賞は「これぞまさに私たちが思い描いていた作品」

──募集テーマ「たくましく生きる力」にはどんな思いが込められているのでしょうか。

【岩本】未来の主役である子どもたちに「たくましく生きる力」を育んでほしいという願い。そして、地球環境保全という課題に立ち向かう人間や動植物の姿。これらのイメージを重ね合わせて設定したテーマです。生きとし生けるものはそれぞれの「たくましさ」を秘めているはずです。それらを写し出し、未来を担う子どもたちへメッセージが伝わる作品を求めています。

男性
CSR推進部
環境経営推進部長
岩本昌弘さん
──「2021」コンテストの受賞作は、その狙いを見事に表現した作品がそろいました。

【岩本】優秀賞の「咲いたらど真ん中」は、これぞまさに私たちが思い描いていた作品です。人に踏まれても踏まれても諦めずに成長し、道の真ん中で美しい花を咲かせる姿からは「たくましく生きる力」を強く感じます。また、厳しい環境にも負けずたくましく成長する生命力は、多くの災害や新型コロナなどの苦しみから立ち上がっていく人々とも重なって勇気をもらえます。

佳作の「生涯現役」は人生100年時代といわれる中、高齢でも生き生きと現役で働く力強さと美しさが表れている作品。「一生涯の安心」を届ける当社の生命保険事業にも通じます。もう一点の「竹の子取れたよ」は、躍動感あふれる女の子の表情と、グングン育つ竹の子のたくましさが上手に表現されています。竹林に届く明るい光から未来への希望も感じました。

道に咲く水仙
2021年優秀賞「咲いたらど真ん中」斎藤敏範さん
農作業中の人
2021年佳作「生涯現役」谷野 隆さん
筍を持つ女児
2021年佳作「竹の子取れたよ」中村克実さん
──貴社はこれまでどのように環境と向き合ってきたのでしょうか。

【岩本】当社の取り組みは、環境問題の研究を助成する「日本生命財団」を設立した1979年より継続しています。92年には、当社の営業活動で使用した紙の量相当分の植樹を行う「ニッセイ100万本植樹運動」をスタート。2001年には、かけがえのない地球環境を次世代に継承するための行動指針などを定めた「環境憲章」を制定しました。15年に採択されたSDGsの理念と当社の創業の精神が一致することから、19年には「SDGs達成に向けた日本生命の目指す姿」を設定。当時「2050年までに2013年度比80%のCO₂排出量の削減」としていた目標は、昨今の政府のカーボンニュートラルの方針を受け、「実質ゼロ」に引き上げました。また、ESG投融資を積極的に進める機関投資家として、投資先のCO₂排出量も実質ゼロにするという目標も新たに掲げています。

生命保険会社として初めて、営業所が「ZEB」認証を取得

──目標を達成するための具体的な取り組みについてお聞かせください。

【岩本】18年に新築した当社の小山支社結城営業部が、BELS※1の最高ランクにおけるZEB Ready※2認証を取得しました。当社は全国に約1500の営業拠点を配置しており、今後、建物の老朽化などにより新築する営業拠点は、この「ZEB ready」水準を営業拠点新設の原則としています。20年度末までに61拠点を竣工。さらに、19年竣工のさいたま支社川口営業部と、20年竣工の和歌山支社伏虎営業部においては、蓄電池付き太陽光発電設備を活用することで、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した「ZEB※3」認証を生命保険会社として初めて取得しました。 また、国内約2000台の社有車をEV車やハイブリッド車へと段階的に入れ替えています。

※1 「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略称で、建築物の省エネルギー性能(燃費)について、評価・認定する制度。一般社団法人住宅性能評価・表示協会によって運用。

※2 「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」を見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備えた建築物で、具体的には再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量を削減に適合した建築物。

※3 建築計画の工夫による日射遮蔽・自然エネルギーの利用、高断熱化、高効率化によって大幅な省エネルギーを実現した上で、太陽光発電等によってエネルギーを創り、年間に消費するエネルギー量が大幅に削減されている最先端の建築物。

建物
ZEB認証を取得したさいたま支社川口営業部
──プラスチック使用量の削減など、他にも多くの取り組みを進めていますね。

【岩本】「ニッセイPlastics Smart運動」を推進し、2024年度以降に新規購入するクリアファイルはすべて紙製とすることを目指しています。この紙製のクリアファイルのほか、紙製のボールペンは、当社がグループ企業と一緒に開発しています。また、全国の営業所ごとに行う地域活動への参加も特徴の一つ。例えば、北海道の道東支社根室営業部では、ラムサール条約登録湿地の「春国岱」において外来植物の除去などのボランティア活動を継続しています。

──さまざまな環境への取り組みを進める中、「環境フォト・コンテスト」をどのように位置付けているのでしょうか。

【岩本】「写真」であることが大きいと思います。どんなに言葉で説明しても、たった一枚の写真の説得力にはかなわないこともある。スマホの普及で「撮ること」が身近になりましたから、ぜひ多くの方に身の回りの環境の変化を捉えていただきたい。その積み重ねが、一人一人の環境意識の向上につながることを願っています。