2020年12月に日本での創業60周年を迎え、新ブランドメッセージ「ここでしか、見つけられないものがある。」を発表した「ダイナースクラブ」。同時にカードデザインを刷新し、ニューノーマル時代のライフスタイルに寄り添うサービスを拡充した。その狙いや新たな取り組みについて、ダイナースクラブカードを発行する三井住友トラストクラブ株式会社の五十嵐幸司代表取締役社長に聞いた。

パイオニア精神でダイナースクラブならではのサービスを創出

――新しいブランドメッセージにはどのような思いが込められていますか。

ダイナースクラブには、伝統を守っていくことと、アイデアの実現に向かって果敢に挑戦するパイオニア精神が、独自の価値観として脈々と受け継がれています。新しいブランドメッセージの考案に際しても、「守っていかなければいけないものと、これから変えていかなければいけないもの」について社員総出で議論しました。

そのようにして生まれた「ここでしか、見つけられないものがある。」という新メッセージには、ダイナースクラブらしい独自性のあるサービスを通して“本当に価値あるもの”と出会う機会を提供し、人生を豊かにするサポートをしていきたいという社員全員の熱い思いや決意が込められています。

パイオニア精神という点では、東京オリンピックを4年後に控えた1960年12月に日本のダイナースクラブは創業し、日本で初めてクレジットカードを発行、キャッシュレス社会の黎明期において大きな役割を果たしました。さらに、今ではクレジットカードの常識となっているプラスチック製カードや銀行口座振替制度、キャッシングサービスは、日本のダイナースクラブが世界に先駆けて考え出したものです。

五十嵐幸司
三井住友トラストクラブ株式会社 代表取締役社長

最近では、Mastercard®のプラチナグレードのステータスを備えた「TRUST CLUB プラチナマスターカード」がコンパニオンカードとして付く画期的なサービスや、日本初となる「投資型クラウドファンディング」におけるクレジットカード決済、予約がなかなか取れない人気店のキャンセル席情報をアプリやメールで会員に案内する「ごひいき予約.com」などを始めました。

このように創意工夫によって新たなサービスを生み出すというのが、まさにダイナースクラブの特徴です。

――逆に、受け継がれてきた伝統としてはどのようなことが挙げられますか。

ダイナースクラブでは創業以来、旅行やグルメ、ファッションなど、会員にふさわしい“本当に価値あるもの”の情報提供に努めてきました。これが脈々と引き継がれ、弊社の伝統となっています。世の中に情報があふれている時代だからこそ、確かなキュレーション力がより求められていると思います。

ダイナースクラブの会員誌『SIGNATURE』で毎号掲載している「今月の一皿」で紹介したお店が会員の予約ですぐにいっぱいになるというのも、ダイナースクラブのキュレーション力が信頼されている証といえるでしょう。

ダイナースクラブのクラブメンバーに発送される会員情報誌『SIGNATURE』(年10回発行)。国内・海外旅行、グルメ、ファッション、ライフスタイル、カルチャーなどの情報を掲載し、より豊かなライフスタイルを望む会員をサポートする。

カードのデザインを刷新し、タッチ決済を搭載

――ダイナースクラブカードのカードデザインが刷新され、機能も向上しています。その内容と狙いについて教えてください。

ニューノーマルのライフスタイルへの対応や新技術の導入が主な目的です。おもて面はエンボスをなくして光沢感をもたせたことで、より上質に仕上がっています。一方、裏面にはカード情報を集約し、店頭でのカード利用時に個人情報を盗み見されるリスクを抑えました。

加えて、「ダイナースクラブ コンタクトレス(タッチ決済)」を搭載。サインや暗証番号を入力することなく、端末にカードをタッチするだけで決済できます。会員からは「決済がスピーディで使い勝手がいい」「セキュリティが向上し、衛生的にも安心」と、ご好評をいただいています。

クレジットカード発行60周年に合わせて、カードデザインを刷新(12月1日発行開始)。安全面に配慮し、おもて面のエンボス(凹凸のある印字)を廃止して、カード情報を裏面に集約した。店頭でのカード利用時に、第三者に個人情報を盗み見されるリスクが低くなる。「ダイナースクラブ コンタクトレス(タッチ決済)」を搭載し、サインや暗証番号を入力することなく、対象店舗の端末にカードをタッチするだけで決済できる。上段は「ダイナースクラブカード」、下段は「ダイナースクラブ プレミアムカード」(招待制)。

――この60周年の節目にダイナースクラブカードの付帯サービスも拡充されていますが、どのような魅力がありますか。

新しい生活様式が浸透してきていることを踏まえ、国内向けのサービスをより充実させました。例えば、上質な宿泊施設を選りすぐったダイナースクラブ厳選ホテル・旅館優待「国内クラブホテルズ・旅の宿」を拡充。2020年の開業以降、話題の「ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜」をはじめ、錚々たるホテルに参画していただいています。

「会員限定特別ツアー」では、他では体験できないダイナースクラブならではの最上級ツアーを年3~4回提供。初回は、ダイナースクラブ貸し切りでJR東日本のクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」を予定しています。そのほか、「プリンスゴルフリゾーツ 特別優待」も新たにリリースしました。

新しい生活様式にマッチするサービスとしては、「ダイナースクラブのお取り寄せ」「ごほうび予約」などがあります。「お取り寄せ」は、こだわりの商品を集めた「婦人画報のお取り寄せ」とのコラボ企画において、ダイナースクラブ会員限定商品や、婦人画報のお取り寄せで完売の人気商品を数量限定で紹介しています。お一人様でも気軽に予約できる「ごほうび予約」では、ご自宅で一流シェフの味を楽しめるテイクアウトを新たに始めました。

――クレジットカードの枠を超え、次世代と日本文化を応援する活動も会員に好評のようですね。

はい。400以上の酒蔵が参加する日本酒の品評会「SAKE COMPETITION」に協賛しているほか、東京藝術大学との提携で若手アーティストに上質な演奏の機会を提供する「ダイナースクラブ アーティストサポートプログラム」、2016年からは国内の若手女子プロゴルファーを応援する「ダイナースクラブカップ」の開催などにも取り組んでいます。

例えば、「SAKE COMPETITION」では、若手醸造家や若手の蔵元経営者を表彰する特別賞「ダイナースクラブ若手奨励賞」を設けています。さらに、同賞を受賞した山梨の銘酒「七賢」を造っている山梨銘醸とのコラボレーションで「ダイナースクラブ60周年記念酒」を製造しました。この記念酒に使われている酒米は、会員家族が2019年5月の田植えイベントに参加して苗を植え、同じく9月に稲刈りイベントで収穫したものです。

山梨を代表する銘酒「七賢」を醸す山梨銘醸株式会社とのコラボレーション「ダイナースクラブ60周年記念酒」。記念酒専用の箱とボトルには、銘酒「七賢」のロゴとともに、ダイナースクラブのロゴとダイナースクラブ60周年記念ロゴもあしらわれ特別感を演出している。

ご招待制の特別なカード 「ダイナースクラブ プレミアムカード」

――ダイナースクラブにはご招待制の「ダイナースクラブ プレミアムカード」がありますが、どのようなカードでしょうか。

プレミアムカードは招待制ですから、入会についてはダイナースクラブカード会員へ弊社からインビテーション(招待状)をお送りするのが基本となっています。

60周年を機に、プレミアムカード会員限定の優待・サービスも拡充しています。例えば、食ジャーナリストのマッキー牧元氏がおすすめする予約困難なお店の席をダイナースクラブが事前に確保し、会員にご案内する「Wish ダイニング with マッキー牧元」を始めました。

24時間対応・年中無休のコンシェルジュサービスでは,会員様のご要望に臨機応変に対応する質の高いサービスの提供に努めています。

また、ダイナースクラブのオリジナル商品をお誕生日当日にお届けする「バースデーギフト」もご好評いただいています。「当日にお祝いしてくれたのは、ダイナースクラブだけだった」と会員様から御礼のお手紙が届いたこともあります。

じつは今、プレミアムカード会員の方々のニーズが多様化し、ご要望もかなりパーソナル化してきています。そこで、よりパーソナルなご要望にオーダーメイドでお応えするサービスや商品も準備中です。

ダイナースクラブでは人生100年時代に対応し、さまざまなライフステージにおいて人生を豊かにできるようなサービスの提供に力を注いでいます。この機会にぜひ、「ここでしか、見つけられない」サービスをご体験ください。ダイナースクラブカードの初年度年会費が無料になる新規入会キャンペーンも実施中です(2021年3月31日まで)。