コロナ禍でその高い除菌効果が注目され、メーカーへの問い合わせが全国から寄せられている商品がある。北海道帯広市に本社を置くアクトが製造する電解除菌水「クリーン・リフレ」だ。もともと多様な施設で除菌、洗浄に使われていたこの商品の特徴はどこにあるのか。開発の背景とあわせて、同社の内海洋社長に聞いた。

大学や研究機関と連携し効果を確認済み

内海 洋(うちうみ・ひろし)
株式会社アクト 代表取締役
1958年生まれ。北海道小樽市出身。97年に創業。道内で初めて農業施設メーカーとしてISO9001、14001を取得。2018年、アクトは経済産業省の「地域未来牽引企業」に選定されている。

──これまでの反響はいかがですか。

【内海】新型コロナウイルスの感染拡大初期は、電話が鳴り止まない状態でした。特に医療機関からは「消毒用の資材が一切入手できない」といった深刻な連絡も多く、「クリーン・リフレ」の無償提供も行いました。この商品は、10年ほど前から主にインフルエンザ対策として、学校、高齢者施設などさまざまな場所で手指や設備の消毒、空間除菌に使われてきたもの。今回、その除菌効果や安全性が支持され、注文が殺到した形です。

──「クリーン・リフレ」の特徴はどんなところにありますか。

【内海】“口に入っても害はない”というのが「クリーン・リフレ」のコンセプト。その成分は電解無塩型次亜塩素酸水で、水道水基準にも合致しています。すでに大学や研究機関の試験で、黄色ブドウ球菌、インフルエンザウイルス、鳥インフルエンザウイルス、PED、口蹄疫ウイルスをはじめ、多様な菌、ウイルスを不活性化することを確認済みで、もちろん新型コロナウイルスへの効果も帯広畜産大学との共同研究でいち早く確認しました。その有効性については、経済産業省所管の製品評価技術基盤機構も認めています。

一方で最近は、除菌用の商品が非常に多く登場し、混乱を呼んでいる状況があります。例えば、家庭でもよく使われる塩素系漂白剤の主成分である「次亜塩素酸ナトリウム液」は名前は似ていますがまったく別のもの。次亜塩素酸は体内で病原体を攻撃するために、好中球(白血球の一種)がつくり出している物質で、当社はそれを食塩水の電気分解により生成しています。

都内で行われた展示会でも、多くの人が「クリーン・リフレ」に関心を寄せていた。

食の安全や命を守る分野で多くの実績を持つ

──商品開発の経緯やこれまでの用途について教えてください。

【内海】農業施設メーカーである当社は、家畜の伝染病予防を目的とした車輌消毒装置を提供しています。しかし、そこで使われる消毒液が環境に負荷を与えていることに疑問を感じていました。なんとか環境にやさしい安全なものはできないかというのが商品開発のきっかけ。お話しした“口に入っても害はない”ということです。周囲からは「できるわけがない」「何をバカなことを」という声も聞かれましたが、徹底したリサーチ、開発の末に行き着いたのが「クリーン・リフレ」です。

現在の用途は、各種施設や受験生が学ぶ教室、家庭での空間除菌のほか、農作物への散布、家畜や畜舎への噴霧、また食品加工工場での食品の洗浄や機械・器具の除菌など。もともと当社は農業にかかわり、食の安全、その先にある命を守ることを仕事にしてきました。とりわけその分野では多くの実績を持っています。

──研究活動や商品開発で内海社長が大事にしていることは何ですか。

【内海】世の中のニーズ、それも少し先のニーズをとらえ、社会に貢献するというのが1997年の創業以来、アクトの根本にある考えです。こんな商品があったら、きっと助かる人、喜ぶ人がいるはず──。そうした思いで開発にあたっています。

またものづくり企業として、優れた技術やノウハウを具体的な商品にすることも重視しています。当社は、公的な研究機関である産業技術総合研究所(産総研)とも多くの共同研究を行っていますが、そこで生み出された技術や知見はやはり具体的な形になってこそ意味がある。商品化は私たちの大事な役割であり、実際産総研からもその点を高く評価されています。

──「クリーン・リフレ」の展開を含め、今後の抱負を聞かせてください。

【内海】工場の新設も行い、今は従来の数十倍の需要に応えられるようになっています。いろいろな除菌用商品が販売される中で、確かな効果と安全性が科学的に認められたものをきちんとお届けすることは当社の使命。現在、供給体制の整備とともに、自社サイトやSNSでの正確な情報の発信にも力を入れています。他方で、さまざまな菌・ウイルスに効く「クリーン・リフレ」は、海外からの引き合いも多く、今後本格的な海外展開も計画しています。

繰り返しになりますが、有効な技術を商品の形にして世の中に送り出すことが私たちの役割です。真に役に立つものであれば、それは必ず社会に浸透していく。これまでそうした信念のもとで事業を行ってきて、まさに「クリーン・リフレ」はその代表例です。地球環境保護や私たちの健康にかかわるニーズはまだまだたくさんありますから、今後もその一歩先を見つめ、社会課題の解決に貢献していきたいと思っています。

※現在、「消毒」や「除菌」の効果をうたう様々な製品が出回っていますが、目的にあった製品を、正しく選び、正しい方法で使用しましょう。
※空間噴霧は無人の時間帯に行うなど、人が吸入しないような注意が必要です。
厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」(2020年11月時点)より

ユーザーからの声
「クリーン・リフレ」を選んだ理由

水を電気分解して生成され安全性が確保されている

医療機関(HICクリニック)
次亜塩素酸水の抗ウイルス効果は認識していたものの、安全性に疑問がありました。しかし、水を電気分解して生成された「クリーン・リフレ」は安全性が確保され、抗ウイルス作用も科学的に検証済みです。空気清浄機だけでは院内の空間のウイルスには対応できないと考えていたこともあり、導入しました。現在、院内の廊下と職員食堂に装置を設置しています。

装置がコンパクトなのでどこにでも置きやすい

居酒屋(株式会社馬力)
どうしたら安心してお客様に来店していただけるか。頭を悩ませている中、「クリーン・リフレ」の有効性や安全性、また食中毒予防への効果について説明を受け、採用を決めました。装置がとてもコンパクトなので、どこにでも置きやすい。これも、お店で使うにあたって助かっています。

アルコールより経済的で機材の消毒にも使えるのが便利

医療機関
消毒用アルコールが品薄になったこと、またアルコールを機材の消毒に使うと機材が傷むことから、代替品を探していました。「クリーン・リフレ」はアルコールよりも若干安価なため、大量使用が可能。プラスチック製品に対する攻撃性が低いこともメリットです。

子どもたちの安全確保のため全21教室で空間除菌に活用

音楽教室
教室に通う子どもたちの安全を確保するにあたり、アルコールによる手指消毒や楽器の拭き掃除、室内換気だけで対策として十分か。そう考えていた矢先、「クリーン・リフレ」のニュース動画を見て、取り寄せました。現在、21の教室で空間除菌に使用しています。おかげさまで現状、教室関係者から新型コロナウイルスの感染者は出ていません。

~開発者 株式会社アクト 内海氏の考えに感銘を受け、武蔵野がサービスを開始~

環境衛生事業を長年展開してきた株式会社武蔵野が「菌やウイルスに感染しない環境作りのアドバイザー」として、「安心・安全・信頼・健康」な生活環境をサポートします。