今、「アート」に関心を持つ経営者やエグゼクティブが増えている。そこにあるのは、自らの感性、感覚を磨きたいとの思いだろう。理論やデータ分析だけでは新たな価値を生み出すのが難しい時代、優れたデザインや美学の中に創造性のヒントを見いだそうというわけだ。そうした中、家電という日常の道具にアートの視点を取り入れたのがLGだ。「The Art of Essence ―家電をアートに―」をブランドコンセプトに掲げるLG SIGNATUREは、私たちにいったい何をもたらしてくれるのか――。

不要な要素をそぎ落とし、家電の本質を追求

「家電」と「アート」。それぞれ別の領域にあるように思えるが、必ずしもそうとはいえない。【art】の語源とされるラテン語の【ars】は、「技術」などの意味を持つ言葉。人が自然にないものを技を使って生み出すことを表しているという。一方で現在、ビジネス、またものづくりの世界では「アート思考」という言葉も使われるようになっている。既成の枠組みにとらわれることなく、自身の価値観を大事にして、これまでになかったものを創造していく。そうした思考法がイノベーションの源泉として重要視されるようになっているのだ。

そうした中にあって、LGによる「LG SIGNATURE」の展開は注目の取り組みといえる。「The Art of Essence ―家電をアートに―」をコンセプトに、新たなライフスタイルシーンの提案を目指すこのプレミアム家電ブランドは、まさに固定観念にとらわれず、従来とは異なる家電を実現しようとしているからだ。LG SIGNATUREの根本にあるのは、家電のあるべき姿、本質の追求である。不要な要素をそぎ落とし、エレガントでいて究極のシンプルさを追い求めることで、外観だけでなく、製品としての本来の機能をより向上させることを目指している。

そのデザインは自然から多くのインスピレーションを得ているのが特徴だ。例えば、洗濯機では「しずかな湖の表面に映る月」を表現。筐体を湖、円形のドアを月に見立てている。また有機ELテレビシリーズにおいては「光」を重要なモチーフとした。発光素子ごとに完全にオフにすることができる有機ELテレビでは「本物の黒」を再現可能だ。その黒を表現するには一方で光の存在が欠かせない。これを発想の原点としている。そして、今回詳しく紹介する「InstaView Door-in-Door冷蔵庫」。その筐体表面がイメージしているのは「星」だ。輝く星を独自のTextured Steel加工によって表した。

いずれの製品においても大切にしているのは、時を経ても変わらず、製品を使うたびに心地よい満足を感じてほしいとの思いだ。ユーザーに普遍的な感動を届けたい――。自然の要素を取り入れたデザインには、そうした願いが込められている。

LG SIGNATUREのブランドコンセプトは、デンマーク人のプロダクトデザイナーであるトーステン・ヴァルアーとLG SIGNATUREデザインチームによって管理されている。

技術の力でユーザーの隠れたニーズに応える

LG SIGNATUREの魅力は、意匠的な美しさに留まらない。デザイン性と製品としての機能、使いやすさを調和させているのが魅力だ。冷蔵庫については、2019年に「家電大賞」(トレンド情報誌「GetNavi」と白物家電専門ニュースサイト「家電 Watch」による家電アワード)も受賞している。

この冷蔵庫でまず印象的なのが、向かって右側上部のドアに配され、製品名にもなっている「InstaView Door-in-Door」だ。窓のようなガラス扉を軽く2回ノックすると、冷蔵庫を開けることなく庫内を確認できる仕組みになっている。ご存じの通り、扉の頻繁な開け閉めは冷気を逃がすことにつながる。その回数を減らすことができれば、無駄なエネルギーを使うことなく、食材の鮮度を保つことが可能だ。さらに、このガラス扉はそれだけを開閉することもできるため、よく出し入れする飲料や調味料などを入れておくのに最適である。

2回ノックすることで、庫内が見えるようになる「InstaView Door-in-Door」。ガラス扉は開けられるので、ミニ冷蔵庫のようによく使うものを入れておくのにも便利。

「Auto Open Door」もまた、ユーザーの利便性を高める機能だ。人が近づくとセンサーが反応して足元に「Door Open」とライトが点灯。そこに片足をかざすと冷蔵庫の右ドアが自動でオープンする。当然ながら、荷物で両手がふさがっていたり、調理中で少し手が汚れていたりするときにはとても便利だ。もし誤って開けてしまっても、一定時間内に開閉がない場合は自動的にドアが閉まるという配慮も気が利いている。「アイデアとは既存の要素の組み合わせ」と言ったのは、米国の実業家であるジェームス・ウェブ・ヤングだ。「Auto Open Door」もまさにその一つに数えられるだろう。クルマのトランクドアなどにはかねてより足をかざす形の自動オープン機能が搭載されていたが、それを冷蔵庫に採用した点がアイデアなのである。

片足をかざすことでドアを開けることができる「Auto Open Door」。ユーザーの小さな困りごとを解消する。

ユーザーの潜在的な課題を解決するという意味では、「Auto Open Drawer」も見逃せない。庫内の奥から、ずいぶん前に購入した食材が出てきたという経験は誰しもあるだろう。その点、冷蔵庫のドアを開くと、自動で中の引き出しが手前にせり出してくる「Auto Open Drawer」があれば、深くかがまなくても必要なものが見つけやすく、トレーの奥にしまった食材なども簡単に探すことができる。しまいっぱなしの解消に効果的だ。

自動で中の引き出しがせり出してくる「Auto Open Drawer」もユーザー本位の機能だ。

加えて、この冷蔵庫はIoT機能も備えている。LG独自のスマホアプリと連動させることで、外出先でも冷蔵・冷凍温度の調整ができ、除菌脱臭や急速冷凍のオン・オフも可能だ。最先端の技術を駆使して、より快適でスマートな毎日を届けるというLG SIGNATUREの理念を具現化した機能の一つといえるだろう。

IoTにも対応。温度調節などができるほか、ドアが開けっぱなしになっていると通知される機能もある。

冷蔵庫がユーザーのライフスタイルと意識を変える存在に

あらためてこの冷蔵庫のデザイン性に目を向けると、その上質な質感を支えているのは、やはりエクステリアに採用されているTextured Steel加工だ。100回以上の研磨を施された素材は上質さとシンプルさを兼ね備え、指紋が付きづらく、掃除がしやすいというメリットも提供している。まさに、不要なものをそぎ落とし、本質を追求するというデザイン哲学を形にしている。

耐久性に優れた「Textured Steel」をエクステリアの素材として採用。外観の美しさを際立たせている。

もちろん、上質さや高級感を追求しているのは外観だけではない。庫内すべてをステンレススチールにすることで、ほかではなかなか見られない美しさを実現している。同時に庫内の温度を維持しやすいという実用性も満たしているところがLG SIGNATUREである。

「Platinum Fresh Wall」と名付けられた庫内。庫内の4面すべてがステンレススチールでつくられている。

妥協のない最高の品質、時代にとらわれないデザイン、クラフトマンシップ(職人技)。これらを存分に注ぎ込むことで、キッチンの片隅で食材を保存するだけだった家電を一つのアートにした「InstaView Door-in-Door冷蔵庫」。ユーザーからは、「まるで冷蔵庫自身が“私を使って料理をして”と語りかけてくるようだ」「この製品と出合って、キッチンで過ごす時間や家族との食事時間が楽しくなった」といった声が聞かれるという。また、なかには家を建てる際にLG SIGNATUREの製品を考慮した間取りを建築士と相談した人もいたとのこと。それは、家電が単なる暮らしの道具ではなく、“自らのライフスタイルを豊かにする存在”であることをユーザーが強く意識している証だろう。

一方で、従来とは一線を画する発想、手法で生み出されたLG SIGNATUREは、身近で、使い慣れた家電においてもイノベーションの余地が大いにあることを私たちに教えてくれる。それは、新たな価値を創造することが使命のビジネスリーダーにとって、感性を刺激し、好奇心や探究心を呼び起こす貴重な存在にもなりそうだ。