1983年のデビューから37年、これまでに累計3万ページ超を描いてきた漫画家の浦沢直樹氏。一目でそれとわかる独自の作風はいったいどのようにして生まれるのか──。実際の仕事場を訪ね、本人に聞いた。
浦沢直樹(うらさわ・なおき)
1960年、東京生まれ。漫画家。83年『BETA!!』でデビュー。代表作に『YAWARA!』『MONSTER』『Happy!』『20世紀少年』(すべて小学館刊)など。2018年9月より本格連載『あさドラ!』を「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にてスタートさせた。国内外での受賞歴多数。国内累計発行部数は1億2800万部を超える。

何とも言えない表情が物語にもたらすものとは

──どの作品も登場人物の表情が印象的で、その微妙さ、繊細さは浦沢漫画の特徴の一つとも言われます。

【浦沢】一口に「喜怒哀楽」と言っても、実際はその間に何百、何千もの複雑な感情があり、なかなか言葉では説明できません。そういったものを絵にして表現したいという気持ちは確かに持っていますね。

なぜなら、それができると物語に深みが出る。一コマ、一コマ、登場人物に“演技”をさせるのに、誰が見ても「喜んでいる」「怒っている」という絵文字のようなわかりやすい顔つきばかりではどうしても表面的になってしまいます。シンプルな線で感情表現ができるのは漫画の強みではあるけれど、個人的には、何とも言えない、まさに微妙な表情で物語に奥行きを持たせたい。そう思っています。

──どうすると、そういう表情が描けるようになるんでしょうか。

【浦沢】例えば映画やテレビを見ていて、ある俳優がどことなく寂しげに思える。すると、“いったいどうしてそう感じるんだろう”と自然に観察していますね。顔のパーツがどんな形になっているか、位置関係はどうか……。観察して、実際に描いてみる。これはもう子供の頃からで、目に見えたもの、そしてそこから感じたことを、そのまま紙の上に表現したいというのが僕の原点なんです。思ったとおりにできると、満足する。その積み重ねが漫画家としての基礎になっているんだと思います。

原稿は手書きで、使用するペン先はわずか2種類だけ。それで、さまざまな線を描き分けていく。

──表情を描くとき、大事なパーツというのはありますか。

【浦沢】やっぱり「目」でしょうね。眉毛と目から始めて、それが描けた時点でキャラクターがしっかり演技できているかどうか、だいたいわかる。だから、目だけを自分が納得するまで何度も描き直すことがありますよ。

例えば凄んだ表情というと、目がつり上がっているイメージがあるけど、逆に眉や目尻が下がっているほうが本当に恐ろしい顔になるときもある。また、僕の描く登場人物、特に男性は黒目が小さいとよく言われますが、自分ではあまり意識していません。白目の中での自由度が高まり、演技の幅が広がるので、自然とそうなっているんだと思います。いずれにしても、目の描き方ひとつでまったく印象が変わるので、新しい表現方法を常に探しているし、こだわっています。

目を酷使する日々
アイケアがより大切に

──観察することが仕事の一部である浦沢さん自身にとっても、「目」は大事ですね。

【浦沢】もともと体も目も丈夫に生まれついたようで、最盛期は月に締め切りが6本あり、毎日のように15時間以上ぶっ通しで描き続けるなんてこともありました。ただ年齢を考えれば、これからはいっそうケアしていかなければいけない。おっしゃるとおり、見ることは欠かせない仕事の一部だし、目は大切な“知覚の扉”ですから。

──普段、気になる症状はありますか。

【浦沢】手元から目を離して資料を見たりするときに、焦点が合いにくいということはありますね。また、今は色塗りをパソコンで行っており、モニターの光量を落とすと色味が変わってしまうので、かなり目が疲れます。そういう意味でも、アイケアは大事になってきます。目から入った情報が、脳に送られ、ハートに届く。入り口がしっかりしていないと、創作にも当然影響が出てしまいます。

──最後に、浦沢さんの創作の原動力について聞かせてください。

【浦沢】世の中にこんな漫画があったらいいな──。自身がそう思う作品を生み出したいという気持ちかな。子供の頃、僕はいろんな人の漫画を読んで、ああでもない、こうでもないと言っていたうるさ型でした(笑)。そんな浦沢少年に、「これでどうだ!」と勝負を挑んでいる感じです。

僕は基本的に、読者のニーズみたいなものは考えないんです。読者にとって初体験になるようなものを、と思って描いてきました。出版社からこのジャンルは売れないので、と止められたこともありますが、僕の中の、これは面白い、という思いをいかに読者に伝えられるのか、日々そのチャレンジの繰り返し。だから、これからも“明日一番面白いものが描けるかもしれない”という気持ちでペンを走らせたいと思っています。

新発売の「ロートジープロd」は経験したことのない爽快感!

酷使した目のつらいピント疲労(※1)に効く機能性目薬「ロートジープロd」。その使用感について、「これまで経験したことのない爽快感」と浦沢氏。「ロートの目薬の中でも最高レベル(※2)の清涼感というから納得です」
加えて、ピント調節機能改善成分(※3)を基準内(※4)最大濃度配合。視点を動かすと焦点が合いにくいという浦沢氏。「基本的には原稿に向かっている時間が長いから、目の周りの筋肉が固まっているんでしょう。だから、別のところに目を移すとぼやけて疲れる。そこをケアしてくれるのはありがたいですね」

(※1)ピント調節筋を酷使し、一時的に目が疲れた状態。
(※2)ロート製薬目薬内で最も高い清涼感レベル。
(※3)ネオスチグミンメチル硫酸塩。
(※4)厚生労働省が承認事務の効率化を図るために定めた医薬品の範囲。

〈第二類医薬品〉 ロートジープロd
効能:目の疲れ、目のかすみ
内容量:12ml 価格:780円(編集部調べ)