大人の女性の矯正適齢期は30~40代。子育ての区切りや結婚等の節目を機に始めてみる人が増えているという。ただ、歯科を選び間違えると矯正難民になることも。絶対選んではいけない3つのタイプとは――?

1度始めたら2~3年かかる

「この頃、大人になってから歯科矯正を始める人が増えています。歯並びを整えることが、審美面だけでなく、全身の健康状態にもよい影響を及ぼすことが広く知られるようになったからかもしれません」

写真=iStock.com/RyanKing999

そう話すのは延島ひろみ院長。なかでも多いのは、子どもの矯正治療を終えた母親が、キレイになったわが子の歯を見て、「やっぱり私もキレイにしよう」となること。

「忙しかった子育てが一段落して、余裕ができるタイミングでもあるんですね」

結婚を機に始める人も少なくない。

「半年や1年では終わらないんですけどね。挙式までに見えるところだけでも先にキレイにしたいと希望して、来院されます」

いずれにしても矯正は長丁場。1度始めたら2~3年はかかるし、費用も高額。だから途中で歯医者を替えるのは難しい。それだけに矯正歯科選びは、慎重を期したいもの。

安易な歯科選びで矯正難民にならないためには、いくつかのチェックポイントがある(「こんな矯正歯科はNG」を要参照)。

▼「矯正必要かも」のシグナルはこれ
○見た目がガタガタ
○口元が出ていて横顔が気になる
○かみにくい
○会話したときに歯の隙間から息がもれる
○重なりあって、歯磨きしにくい
○顔が曲がっていて、下の顎が出ている
○出っ歯で顎がない、顎が曲がっている、顎が下がっている
○前歯が極端に開いている

▼こんな矯正歯科はNG
●マウスピース矯正には不向きな歯があることを教えてくれない
抜歯が必要、歯のねじれが大きい、歯の大きな移動の必要があるなど、マウスピース型矯正歯科装置に不向きであることを説明せず、安易に使用をすすめてくる歯科は×。
●すすめる装置と一般の装置の違いを説明してくれない
一般的なワイヤーとブラケットの装置ではない矯正装置を熱心にすすめてくる場合、その装置を使用する場合のメリット、デメリットを納得がいくよう説明できない歯科は×。
●あきらかに症例数が少ない
歯科矯正は一般歯科とは異なる専門知識と技術が必要。矯正歯科治療を専門にする、症例数の多い歯科医師を選ぼう。日本矯正歯科学会認定の認定医、専門医なら安心だ。

「またホームページについては、厚生労働省の『医療機関ホームページガイドライン』を守っているかどうかを確認するとよいでしょう」

「絶対安全」「○%の満足度」「一日ですべての治療が終了します」(治療後の定期的な処置等が必要なのに)といった表現は、客観性を欠いたり、虚偽にわたる可能性があるため、掲載すべきではないとされている。コンプライアンスを順守できない歯科に、まともな治療はできないだろうというわけだ。

「矯正歯科治療は、何歳で始めても遅すぎることはありません。どうかいい矯正歯科医を選んで、いい歯並びとかみ合わせを手に入れて、健康でハッピーな人生を送っていただきたいです」