産業用太陽光発電の分野で新たな動きが起こっている。固定観念にとらわれず、賢い選択をすることで大きなメリットを手に入れられる可能性があるという。

エネルギーコストの削減や企業価値の向上をもたらす方策として、今、太陽光発電の“自家消費”が注目を集め始めている。工場や店舗などの遊んでいる屋根の有効活用法として、これまでも多くの企業が導入してきた太陽光発電。しかしなぜ売電ではなく、自家消費なのか──。太陽光発電システムの開発・販売、また新電力としての小売事業などを手がけ、今年「MY自家消費セット」の提供も開始したLooopの藤原啓介氏に聞いた。
自家消費の収支シミュレーションを見て多くの経営者の方が興味を持ってくださいます

原啓介(ふじわら・けいすけ)
株式会社Looop EPC事業本部
自家消費営業部 営業課 課長

大学卒業後、2016年に株式会社Looopに入社。太陽光発電システムの提案・販売に従事した後、「MY自家消費セット」の立ち上げに携わる。

売電による利益よりも自家消費が時代の潮流に

──太陽光発電をめぐる現在の状況について教えてください。

【藤原】企業などが産業用の太陽光発電に取り組む場合、これまでは全量を売電して利益を得るというケースが一般的でした。しかし固定価格買取制度(FIT)の導入から7年目になる今、状況は大きく変わっています。

買取価格が当初の40円から今年は18円に下がる一方で、電気の使用料金に上乗せされる再生可能エネルギー発電促進賦課金は1kWhあたり0.22円から2.9円と大幅に上昇しました。これから稼働する再エネの施設も多くあることから、当社では2030年には4~5円になると予測しています。

そうしたなか、電気は「買う」より「作る」ほうが経済的メリットが大きいという考え方が広がりつつあるのです。

──貴社の「MY自家消費セット」への反響はいかがでしょうか。

【藤原】経営者の方などに太陽光発電の自家消費の収支シミュレーションをお見せすると、「価格も投資費用の回収期間も思っていたよりかからない」「想像以上に経済的メリットが高い」と興味を持ってもらえることが多いですね。

これまで太陽光発電の自家消費というと、環境対策にはなっても導入費用が高く、回収期間も長いという見方が強かったと思います。しかし当社の「MY自家消費セット」の場合、回収期間は平均5年程度で、より早く回収できるケースも少なくありません。

電力の自家消費を行えば、当然ながら電気の購入量を大幅に削減できるうえ、余剰分の売電による収益も見込めます。また、夜や朝など発電が不足する時間帯には、当社の「Looopでんき」から必要な分を安価に購入いただけます。さらに中小企業なら、法人税および固定資産税の大幅減税制度を活用できるのもメリットです。

──環境面での効果についてはどう考えたらいいでしょうか。

【藤原】企業の環境対策への社会的要請は近年ますます高まっており、取引先や親会社、また事業者団体から対応を求められるケースも多いと聞きます。実際、当社にもそうした理由からのご相談がかなり増えています。「MY自家消費セット」では中小企業様でも無理なくシステムを導入できるように、「初期費用0円」で設置できる仕組みも整えました。提供開始以来、おかげさまで工場や物流センター、スーパーなどの店舗、介護施設などから幅広くお問い合わせをいただいています。

一気通貫のサービスで高品質と低コストを両立するLooop

精緻な需要予測によって無駄のない最適なシステムを

──「MY自家消費セット」の具体的な内容についてお聞かせください。

【藤原】事業者様が太陽光で発電した電気を自家消費するためのパッケージで、屋根の面積が85平方メートル以上あればご利用が可能です。太陽光パネル、パワーコンディショナ、オプションの蓄電池といった機材と、遠隔監視システムなどのサービスがセットになっています。

一般的な太陽光システム販売会社の場合、パネルなどの機器はメーカーから買い、施工は地域の施工会社に依頼して、保守・運用も管理サービス会社を利用するなど他社へ発注することが多く、どうしてもコストがかさみがちです。当社ではパネルの開発、ご提案、設置、保守・運用までを自社で一気通貫で実施。そのため、中間コストのないリーズナブルな価格でご提供できるのが大きな強みです。

──提案面における特徴についてはいかがですか。

【藤原】自家消費で高い経済性を実現するには、“発電した電気をいかに無駄なく使うか”が最大のポイントです。それには正確な需要予測を行い、ニーズに即したシステムを組むことが大切。

「MY自家消費セット」のご提案にあたっては、電力の小売事業者として家庭用ですでに14万件超、さらに高圧の産業用で約3000件にエネルギーを供給してきたLooopでんきで蓄積したノウハウを活かし、精緻な需要予測に基づいたシステム設計を行います。

運用でもLooopでんきと連携し、太陽光で発電できないときは電気を安く提供し、余った電気は当社へ売電いただけるサービスもあります。これも私たちの特徴。休日に余剰電力が生まれた場合に、捨てるのではなく当社が買取り、Looopでんきの電源に使わせていただきます。

──導入後の保守や管理サービスについて教えてください。

【藤原】導入後の対応も一貫して自社で行っています。その一例が、オペレーションの肝となる遠隔監視システムの「みえるーぷ」です。日常の発電状況チェックはもちろん、異常があれば素早く検知し、アラートを発します。

太陽光発電システムは、外から見ただけでは不具合がわかりにくいこともあります。しかし1カ月後に発電量を見て初めて不具合に気づき、修理を依頼するのでは損失も大きくなってしまいます。障害対応・定期点検・損害補償などを提供する総合保守管理サービス「まもるーぷ」をご契約いただいていれば、原則3営業日以内に素早く対応します。

こうした設計から運用までのワンストップオペレーションにより、お客様が効率的に電気を自家消費できる仕組みを実現しています。

昼間の電力消費の大半を自家消費で賄い「Looopでんき」により買電部分でも経済的なメリットを確保

いまや企業の環境対応は「すべきもの」になっている

──実際に「MY自家消費セット」を導入する場合、どのような流れになりますか。

【藤原】お問い合わせをいただくと、お客様の状況に即したパネルの設置レイアウト、発電量も含めた収支シミュレーションなどを作成し、ご提案をさせていただきます。

内容をご検討いただき、導入が決まれば機材調達、設置工事、作動確認までを当社が責任を持って実施。資金調達についても、リース会社との連携により、初期費用0円で設備を導入することも可能です。毎年の収支がプラスになる場合も多く、さらに分割返済が終わる10年後には収益が大幅に増加します。

──最後に、自家消費に関心を持つ経営者へメッセージをお願いします。

【藤原】再生可能エネルギーによる電力の自家消費は、経営を安定させ、価値を上げていくうえで、今後より大きな意味を持つようになると思います。

繰り返しになりますが、電気の購入価格が今後上がっていけば、自家消費の経済的メリットはより高まります。また一方で災害時の非常用電源の確保というニーズも満たすことができます。

環境・社会・ガバナンスに配慮した企業を投資先に選ぶESG投資の市場が急速に拡大し、環境問題への対応が不十分な企業から資金を引き揚げる動きも起こるなど、社会の潮流としても環境対策が企業にとって「できればベター」なものから「すべきもの」に変わりつつある。使用電力のすべてを再生エネルギーで賄う「RE100」に取り組む企業様も増えています。

従来の電気使用料を、自家消費型太陽光の設備投資に充当するといった発想に変えていただくだけで、遊ばせていた屋上や屋根から幅広いメリットを生み出せるようになります。経済性と環境対策とを両立しながら、経営基盤の強化に役立つ提案ができると思いますので、ぜひ一度ご相談ください。