賃貸住宅・オフィス・店舗のオーナーが入居率のアップを目指すのは当然のこと。しかし賃料の滞納など、入居者にかかわるリスクは避けたい。この二律背反しがちな課題を解決するのが、家賃債務保証業として国に登録済みのフォーシーズだ。オーナーの信頼を集め、成長を続ける同社の丸山輝社長に事業の特徴や大事にしていることなどを聞いた。

倒産のリスクが低い保証会社を選ぶべき

丸山 輝(まるやま・あきら)
フォーシーズ株式会社
代表取締役社長

──家賃保証へのニーズは高まっていると聞きます。

【丸山】はい。高齢化などを背景に、賃貸住宅を借りたくても連帯保証人を立てられない方が増えています。さらに昨年の民法改正も加わり、不動産賃貸の全般において連帯保証人は確保しづらくなっているのが実状です。昨今、オーナー様たちの間でも、連帯保証人によるリスクヘッジの時代は去るという認識が広まっており、当社が果たす役割も大きくなっている状況です。

──家賃を保証する会社も増えているようですが、オーナーはどんな点に注意して選択すべきでしょうか。

【丸山】管理会社が自社で家賃の保証サービスを行う例も見られます。窓口が一つにまとまるのは便利そうですが、管理会社が家賃滞納の入居者に督促をしても、逆に設備などへの苦情を持ち出され、交渉がスムーズに進まないことも少なくありません。物件の管理や清掃は管理会社に任せつつ、家賃保証については専門会社を選ぶほうが得策だと思います。

その保証会社は、いざというとき家賃を立て替えることが第一の使命です。いろいろな会社がありますが、財務内容はできるだけチェックなさってから選ぶべきでしょう。

──無借金経営のフォーシーズには安心感を覚えます。家賃債務保証会社を利用するにも、倒産リスクが高い保証会社では意味がありません。

【丸山】確かに無理な経営・営業スタイルの会社には注意を要すでしょう。例えば、オーナー様との契約件数を増やすことに走りすぎ、仲介の不動産会社に払う代理店手数料を、とても耐え切れるとは思われないほど増やしていく保証会社も見られます。結果、倒産してしまった会社もありますね。

──フォーシーズは経営の健全性を高めるため、どのような努力をしていますか。

【丸山】何よりコストの最小化です。保証会社でも滞納の回収をアウトソースする会社があるなか、当社は社内のカウンセリング部が担当しています。

また全国のオフィスを簡素化し、営業車両はバイクが中心。車両もオフィスの什器・備品も、リースは実質的に高くなるので使いません。

あとは滞納の賃料がどうしても回収不能となったとき、スピーディーに償却し、財務諸表の健全化を図ります。いたずらに時効を待つことはしません。

──フォーシーズ自身を守るためには、入居者審査を厳しくすることも必要となりそうに思いますが。

【丸山】結論から言いますと、当社の保証の承認率は98%以上に達しています。もちろん審査には国際犯罪組織排除のための取引禁止リストを導入していますし、事故歴や反社会的勢力に該当する人物・組織でないかも厳正に調べます。しかし基本方針は、条件を探り、できるだけ多くの方々の保証を引き受けること。万が一問題が起きたときの解決の努力を厭わず、最大限に門戸を広くしています。

フォーシーズの健全経営

 

人にしかできない事だからこそ価値がある

──フォーシーズの保証サービスは、どんな物件をカバーしていますか。

【丸山】学生や高齢者が単身で住む物件から高級賃貸住宅まで、それに賃貸オフィスや店舗など、非常に幅広くカバーしています。賃料が月額1000万円を超えるような商業施設もあります。事業用物件が、当社のビジネスの7~8割を占めています。事業用の保証では、当社が自他ともに認める業界ナンバー1です。

──オーナーへのサービス内容を具体的に教えてください。

【丸山】まず、保証委託料は入居者様からいただき、オーナー様のご負担は必要ありません。そして賃料が期日までに支払われなかった場合、金融機関の3営業日以内に立て替え手続きを取ります。その後、当社のカウンセリング部が交渉を行います。

これは保証会社選びのポイントにもなると思いますが、当社の保証は入居者様の都合で切れることがありません。万一保証委託料が未納だったり、入居者様が亡くなった、逮捕された、破産した、といった場合も、物件の明け渡し完了まで賃料の保証を続けます。

──賃料の回収にはどんな苦労がありますか。

【丸山】実は滞納の大半は、単にうっかり忘れただけなんです。そうでないケースには、本格的な方策が必要ですね。ただし、強引な回収はしません。たとえ滞納者であれ、その方と同じ目線に立った対応を大切にしています。例えば住宅の家賃を払えない方には、収入確保について話し合う。時には趣味の話なども交えて心を開いてもらい、最善の策を一緒に考える。だから担当の部署名を、カウンセリング部としたんです。必要ならばNPOと協力し、食料を届けることもします。

しかし悪質な不払いなどは、法的手続きに移行します。訴訟費用は当社が負担。したがって、どのような事態にせよ、オーナー様は滞納によるストレスや回収の手間や時間、費用の負担とは無縁でいられるわけです。

──状況によっては、最終的に退去してもらう場合もあるわけですね。

【丸山】判決による強制執行、また入居者様からの依頼でも、荷物整理などは当社が行います。正直、その作業はオーナー様に限らず、誰もが敬遠する事、気が重くなる事でしょう。かといって機械にできる事じゃない。当社は「人にしかできない事」にこそ価値があると考えています。社員が汗をかき、最後まで責任をもってやり遂げる保証会社。それがフォーシーズなんです。

──最後に、さまざまな物件のオーナーへメッセージをお願いします。

【丸山】賃料が滞れば危機に陥る──どんなに素晴らしい賃貸物件にもいえることです。賃料の流れを円滑にする当社の事業は、不動産賃貸業界のインフラともいえると思います。その自覚をもって、経営の透明性を高め、財務体質もますます強化する考えです。

オーナー様の仕事は、物件の価値を高め、入居者様の満足度を上げ、高い入居率を保つこと。それに力を注ぐためにも、ぜひ当社のサービスをご活用いただければと思います。