垂涎ものの精進椀とだし巻き玉子

ランチはつきぢ田村のお昼限定のお料理「大原弁当」からだしを利かせた料理を厳選し、昆布だしだけでつくる精進椀を特別にアレンジしていただいた。

だしのおいしさを堪能できるよう特別誂えのランチ。煮物や厚焼き玉子はつきぢ田村のだしを使用しているが、お椀は昆布だしだけの精進椀だ。

精進椀は、利き昆布だしのクリンスイ「出汁をおいしくするための水」に奥井海生堂の蔵囲利尻昆布を一晩浸けてから加熱。塩とほんの少々の淡口醤油で味つけし、椀だねは蟹しんじょだ。これが超がつく絶品で、お椀を顔に近づけた辺りから、だしの風味に包まれ、しみじみとしたおいしさが全身にしみわたる。お椀を味わった参加者たちは、誰もがまず言葉を失い、次の瞬間、笑顔になるのだった。だしがもたらす静かなインパクトだろう。

大原弁当でも味わえる煮物は、絶妙なバランスのだしで炊いてあり、食材の滋味が引き立っている。そして、だしを利かせた甘い玉子焼き。

(左)だしのおいしさを堪能できるよう特別誂えのランチ。煮物や厚焼き玉子はつきぢ田村のだしを使用しているが、お椀は昆布だしだけの精進椀だ。(中)食材の滋味が生きている煮物の盛り合わせ。(右)ほっとするような優しい甘さの厚焼き玉子。

実は、セミナーに応募する際に、だしについて知りたいことを書いてもらっていた。もっとも多かったのがだし巻き玉子のつくり方だった。

田村さんに話を向けると、「玉子焼きは訓練あるのみ」(一同爆笑)と一言。「失敗したってリカバリーできるのが玉子焼きなんです。料理番組の公開放送で、玉子焼きを実演したことがあります。玉子焼き器でくるくると巻いて……、そうしたらスタンディングオベーション。たかが玉子焼きで大袈裟だなぁって思ったら『先生、落ちてます』とスタッフ。玉子焼き器から飛び出しちゃってたの。刹那、巻き簾を手に取り、『慌てないでください。熱いうちに巻き簾で巻いて形を整えます』とその場を納めました。うまく巻けなかったらスクランブルエッグみたいにして、巻き簾で整えればいいんです。怖がらずに、つくってみてください」とのこと。

関西のだし巻き玉子は塩で味つけするから、焦げない。つきぢ田村のように関東のだし巻き玉子は醤油や砂糖で味つけするから、ちょっと焦げた感じも味わいになる。なるほど、いろいろ試してみたくなる。

おいしいだしが身近にあると和食メニューをつくりたくなる。メニューがどんどん広がる。しかも、ヘルシー。いいことばかりのおいしい連鎖が始まる。和食の原点であるだし。だしのある暮らしで、食生活を豊かに彩ろう。

【奥井海生堂】
●神楽本店
福井県敦賀市神楽町1-4-10
0770-22-0385
[営]9:00~18:00(日祝~17:00)
[休]無休
●コレド室町店
東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1F
03-3548-0493
[営]10:00~21:00(日祝~17:00)
[休]無休
※このほかデパートなどに出店あり。
http://www.konbu.jp/

【つきぢ田村】
東京都中央区築地2-12-11
03-3541-2591
[営]11:30~15:00、17:30~22:00(土日祝は通し営業)
[休]平日に臨時休業あり
http://www.tsukiji-tamura.com/

クリンスイとは?
1984年、世界で初めて除菌ができる中空糸膜フィルターを採用した家庭用浄水器を発売した「クリンスイ」。“水”を通して世界中の人にワクワクを届けていきたいという思いから、現在では浄水器にとどまらない製品開発やサービスを世界に展開しています。東京・原宿では、「和食のためのクリンスイ」をはじめ、クリンスイの考え方“いい水にこだわった暮らし”を体験できるMIZUcafeを営業中。