「残業無制限」欧米では考えられない
日本は企業にとって法的に“残業無制限天国”だが、こういう国は先進国では極めて珍しいのだ。
EU加盟国では「7日ごとの平均労働時間が、時間外労働を含めて48時間を超えない」(EU労働指令)こととされている。
この48時間は日本の法定労働時間とは意味が違う。
残業時間を含めて法定労働時間を超える48時間以上働けせてはならないとする“絶対的規制”なのだ。日本のようにザル規制などなく、週8時間の残業しか許されないのである。
EU各国は労働指令の範囲内で独自の規制を行っている。
たとえばフランスでの週の法定労働時間は35時間と日本より5時間少ない。法定労働時間を超える超過労働時間の規定もあるが、その年間枠は180時間にすぎない。
また、労使協定で年間枠を超える残業が許されているが、それでもEU労働指令の1週48時間を超えてはならないとされている。
余談だが、そのフランスでもこの8月、規制緩和によって週35時間労働制を労使の合意で最大46時間まで延長できるようにした。もちろんEU労働指令の枠内での話である。
だが、政府が憲法の特別な規定を使い議会での採決を取らない強硬手段に訴えたために、経営者寄りだと労働組合や若者が反発。激しいデモが頻発し、警官隊と衝突してケガ人や逮捕者が出るほどの騒ぎになっている。いずれにしても日本とは次元が違う話だ。