世にはびこる「40歳を過ぎたら絶望的」という説は正しいのか。人口動態のデータから不妊治療の実績に関するものまで、さまざまなデータで検証していきます。
子だくさんだからでは? への反論
疑り深い人は、「一部の子だくさんの女性が平均値を上げただけ」と考えるかもしれません。そこで、昭和15年の調査の数値(人口問題研究所昭和16年10月発表の中川友長氏論文)を挙げておきます。こちらは、平均出生率ではなく、40代に子どもを産んだ女性の割合ですが、32.6%。調査時点の昭和15年は、大正時代よりも出生率が落ちています。大正時代ならこの数字はさらに高くなったでしょう。
この数字を見ても、まだ、こんな異論が聞かれそうです。「でも、初産だと……」。さすがにこの調査にも初産かどうかはありませんが、それに近い項目がありました。「妻の結婚した年齢別にみた40歳以降に出産した割合」です。そのデータはグラフの通り(グラフ:2参照)。
・20代前半で結婚した人=32.4%
・30代後半で結婚した人=39.1%
30代後半で結婚した場合、40歳までには5年もありません。ということは、40歳時点では初産か2子目という人が多いでしょう。それでも、39%が40代で出産! です。
・大正時代、日本でも40代の女性1人あたり0.43人産んでいた
・30代後半の晩婚さんの約4割が40代で出産→「初産だから難しい」わけではない
イラスト=Takayo Akiyama