──賃貸事業のパートナー選びでは、どんな視点が必要でしょうか。

【浦田】今述べた一連の作業を理解し、サポートしてくれる事業者は、いいパートナーとなり得るでしょう。もちろん高い収益性も重要ですが、安定経営のためには、バラ色の夢を見せてくれる会社よりも、リアルな現実を語る会社の方が信頼できます。

賃貸住宅経営は一代で終わりではありません。二代目に引き継ぐ事業ノウハウやスキルを磨いていけるかがポイント。それだけにオーナーには経営者としての意識を持ち、常に勉強していくことが求められます。自立した経営者ならパートナーともうまく協調していくことができるでしょう。

──最後に、これから賃貸住宅経営へチャレンジする人へのアドバイスをお願いします。

【浦田】繰り返しになりますが、しっかりと学び、それを実践することです。地域や業界の新たなトレンドに目を凝らし、どんどんキャッチアップしていく。最近だと例えば民泊なども注目されていますが、これも賃貸住宅と無関係ではありません。

そうした学びと実践を継続するにあたっては、同じ立場の大家さんと情報交換することも支えとなるでしょう。探せば、全国各地に大家さんが交流するコミュニティーがあります。最初は不安を抱えていた大家さんも、具体的な経験談を聞くことで悩みが解消していく。そうしていつしか先輩大家さんになっていくのです。取り組み方しだいで、結果に大きな差がつくのが今の時代の賃貸住宅経営。固定観念に縛られることなく、自分なりの挑戦をしてほしいと思います。

賃貸住宅経営の企画立案で押さえるべき5つのポイント

(1)近隣の動向を調査する
需要のある間取りは何か。ネットなどを活用し、エリアの人口推計・世帯数・持ち家比率などをリサーチ。次に不動産業者へヒアリング。また実際に自分の足で近隣を見て回る。家賃相場や稼働率なども踏まえ物件を想定する。

(2)建築関連法規をチェック
自分の土地にどんな規制がかかるのか。都市計画法や建築基準法をチェック。「用途地域」「建ぺい率」「容積率」を調べる。建築の可否や可能な開発規模(階数・戸数・間取り)を理解する。

(3)収益性を判定する
一番効率良く「お金を生む」条件を、設計プランと収支計画から割り出す。建築規模、建築費、税金、さらに投資利回りや借入金負担率などを考慮。必要に応じて書籍やネット、専門家の知恵を活用する。

(4)見積もりをとる
具体的なプランづくりを業者に依頼。規模・構造・間取り・家賃などを各社に伝え、同じ条件で比較しやすいようにする。

(5)事業収支計画を立てる
各社から提出された見積書や企画案、収支計画書を検証する。重要なのはキャッシュフロー。「財布」をイメージして、その中身がどうなっていくのかを考える。収益性とともに安定性に目配りしながらプランを絞り込んでいく。

『「金持ち大家さん」になるアパート・マンション経営塾』(浦田健 著)などをもとに作成。